ドヴォルザーク チェロ協奏曲 ロストロポーヴィチ/ジュリーニこのLPとほぼ同時期に発売されたのが、以下の盤。
・小澤征爾ボストン饗 マーラー「巨人」
・ホロヴィッツ/オーマンディ ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
どれも魅力的で、できれば全て買いたかったのだが、バイトもしていない
中学生の身分ではキツイものがあった。
迷いに迷った挙句、このLPを選んだ。
なぜこれにしたか。
ジュリーニが好きだったことに加え、ジャケットが良かったからだ。
ジュリーニとロストロポーヴィチが、なにやら真剣な表情で立ち話を
している写真。
「イラン・イラク戦争の情況」とか、
「ヘーゲルの弁証法がマルクスに与えた影響」とかいう会話をしている
かのように見える。
もしかしたら、「カレーの具はやっぱり豚肉だよね!」なんて内容
だったのかも知れないが、定かではない。
このジャケット写真を見たとき、ロストロのほうが年上だと思っていた。
老けてみえるし、なんだか態度がでかい。
後日、ジュリーニのほうが年上だと知ったときは、偉そうなロストロに
ちょっと腹を立てたものである。
今となっては、良い思い出だ。
別に良くないか。
この頃(70年代後期)のEMIの録音は、出来不出来が激しかった
ように思う。
カラヤンの「サロメ」は優秀だったが、この盤とかテンシュテットの
最初のマーラー「第5」なんかは、最強音になると音がひび割れて
しまい、ガックリきたものだ。
ただ、後にこの演奏をLDで聴いたときは割れていなかったので、
小生の再生装置の問題だったのかもしれない。
とはいえ、チェロの朗々とした響きと、ロンドン・フィル特有の、くもり
空のようなまったりとした音は格別なものだった。
ロストロポーヴィチのパワー溢れるチェロは、ここでは角が取れていて、
そのぶん、哀愁漂うメロディーを、息長く重厚に、存分に奏でている。
第3楽章の、チェロとヴァイオリンとの協奏のあたりから結末までが
圧巻。
買った日に友人と一緒に聴いたのだが、終わってからしばし無言に
なった。
ふたりで、感動した。
気がついたら、なにげなくサン=サーンスが始まっていた。
ジュリーニとロストロポーヴィチの歌心あふれるこの演奏で、チェロ、
そしてオーケストラという楽器の素晴らしさを思い知らされたものだ。
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