ドビュッシー/ラヴェル 弦楽四重奏曲 ヌオーヴォ四重奏団家でゴキブリをみつけたらどうすればいいか?
ゴキブリにも仏の命が宿っている、と言いつつも、餌をやって育てるわけにもいかないし、窓を開けて逃がしてやったら近所迷惑になる。
ここは、スリッパを持って追いかけるときに「ゴキブリさん、ごめんなさい、殺させてください」とお詫びしながら殺す。誤りながら人間との差別をすることが、『般若心経』の教えなのだという。
生き物を殺さないと生きられないのは人間だけじゃないが、その不条理を感じてしまう人間はツラいな。
ドビュッシーの唯一の弦楽四重奏曲を聴く。彼の曲としては珍しく作品番号がついている。30歳ころの作品で、「牧神」よりも前に作られている。革新的な佇まいはまだ薄く、おフランスの香りが濃厚。
ピチカートで繰り広げられる2楽章は、きっとラヴェルの同じ曲に影響を与えたのだろう。3楽章のアンダンティーノでは、ひんやりとした夜露のような空気をヌオーヴォ四重奏団が繊細に醸し出している。
この楽章につけられた副題は「やや愛情をこめて」。「やや」が何とも言えないが、聴いてみると「やや」がぴったりする。そこがなんだか、ややドビュッシー。
1985年4月、フィレンツェでの録音。
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