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ブーレーズのドビュッシー「夜想曲」

2008.03.08 - ドビュッシー
boulez

ドビュッシー 管弦楽曲集 ブーレーズ指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団


この曲が完成したのは1899年。当初はヴァイオリンとオーケストラの編成を考えていたが、最終的にはフィナーレに女声合唱を参加させる作品になったらしい。
最後の合唱を持ってくるパターンの曲としては、ベートーヴェンの第9、マーラーの第2、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」などを思い出す。
実演だと、合唱団はしばらく待機していなければならないわけだから、彼らはその間、ずいぶんと手持ち無沙汰なのじゃないかと、いつも気がかりだ。スタジオ録音ならばそういう心配はない。

60年代から70年代にかけてのブーレーズの演奏は、時に音と音との間隔が広い。それでいて、テンポは遅いわけじゃない。ひとつひとつの場面を、まるで顕微鏡で拡大して見せつけている感じで、オーケストラの各声部がとても明瞭に聴こえる。部分的に拡大図になっているものの、流れに違和感がないところが彼のスゴイところだ。
ただ、音のつながりはわりとゴツゴツしていて、流麗という言葉は当てはまらない。拡大した部分だけ凹凸が激しい。そのあたり、ショルティなんかの演奏と一線を画するところだと思う。彼は豪腕といわれるけど、音楽の手触りは実はとてもなめらかだ。
どちらをとるかは好みなんだろうけど。
ブーレーズの演奏はこのように一貫しているけど、というより一貫しているがゆえに、曲によってムラがあるように思う。この「夜想曲」については、目覚しい効果をあげている。
16人で歌われる女声合唱が、官能的でステキだ。
CBSの録音は、やや乾いていて見通しがいい。

1968年12月、ロンドンでの録音。
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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま お早うございます
いつも更新を心待ちにしております。

ブーレーズ、意外にお好きな感じがしますね
ブログで取り上げられることが多いような~

クリーヴランドを振り始めた頃からの70年代の録音は、名演と言われるものが多いですね~
ショルティとの比較、面白いです。ショルティは意外に繊細なことをやっていますよね~。

この「夜想曲」未聴です、爆~
ドビュッシーの「海」は演奏はそれほど難しくないのですが、「夜想曲」はとんでもなく難しいです;; ずっと昔に演奏したことがあるのですが、確か2曲目だったと思うのですが、とんでもなくて、誤魔化すしかありませんでした、爆~。

ミ(`w´)彡 
2008.03.08 Sat 10:56 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

そういえば、ブーレーズを取り上げることが多いですね。DGの録音はそれほどでもないですが、CBS時代のものは、なにかしら感じるものがあります。なかでも、クリーヴランドとニューヨークを振ったものですネ。

ショルティが来日して「ハフナー」とマーラー5番をやったとき、アンコールが「夜想曲」の「祭」だったのですが(rudolf2006さんのときもコレだったですか?)、それがとても鮮烈で、印象に残りました。それが「夜想曲」の原体験でした。それ以来、この曲を聴くときは常にショルティとの比較をしながら聴いています。
この曲は、確かに難しそうですねえ。
2008.03.08 16:57

無題 - bitoku

吉田さん、おはようございます。

ブーレーズのドビュッシーは聴いたことがありません。
ラヴェルも未聴なので合わせて聴いてみたいとは思っております。

>ブーレーズの演奏はこのように一貫しているけど、というより一貫しているがゆえに、曲によってムラがあるように思う。

確かにおっしゃる通りだと思います。

>まるで顕微鏡で拡大して見せつけている感じで、オーケストラの各声部がとても明瞭に聴こえる。部分的に拡大図になっているものの、流れに違和感がないところが彼のスゴイところだ。

”拡大図”とは巧い!
音楽雑誌に載っていた昔のブーレーズの写真で机に向かってスコアを広げて、険しい顔つきでペンを持っている手を頭に置いている写真があったのですが、その姿は指揮者、作曲家というより、ほとんど設計技師みたいな感じでなかなか面白い写真でした。

でも70年代くらいまでの彼の指揮したものは学者肌のアカデミックなつまらない演奏ではなくて、意外に熱っぽくて好きです。


2008.03.09 Sun 08:58 URL [ Edit ]

Re:bitokuさん、おはようございます。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

ブーレーズが60年代から70年代にかけて、アメリカやイギリスのオケとやったドビュッシーやラヴェルは、この指揮者の絶頂期の記録であるとともに、これらの作曲家の演奏の中でも最上級なのではないかと思います。

DGになってから同じ曲を再録音していますが、こちらは鋭さがなくなってあまり面白くないかなと…。演奏は立派なものなのですが。

>昔のブーレーズの写真で机に向かってスコアを広げて、険しい顔つきでペンを持っている手を頭に置いている写真があったのですが、その姿は指揮者、作曲家というよりより、ほとんど設計技師みたいな感じ

確かに音の設計技師ですね。
そして、この時代の彼のよいところは、それが無機的にならず熱気のある演奏になっているところですね。
CBSの明瞭な録音も、効果的だと思います。
2008.03.09 09:12
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