ドビュッシー 管弦楽曲集 ブーレーズ指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団この曲が完成したのは1899年。当初はヴァイオリンとオーケストラの編成を考えていたが、最終的にはフィナーレに女声合唱を参加させる作品になったらしい。
最後の合唱を持ってくるパターンの曲としては、ベートーヴェンの第9、マーラーの第2、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」などを思い出す。
実演だと、合唱団はしばらく待機していなければならないわけだから、彼らはその間、ずいぶんと手持ち無沙汰なのじゃないかと、いつも気がかりだ。スタジオ録音ならばそういう心配はない。
60年代から70年代にかけてのブーレーズの演奏は、時に音と音との間隔が広い。それでいて、テンポは遅いわけじゃない。ひとつひとつの場面を、まるで顕微鏡で拡大して見せつけている感じで、オーケストラの各声部がとても明瞭に聴こえる。部分的に拡大図になっているものの、流れに違和感がないところが彼のスゴイところだ。
ただ、音のつながりはわりとゴツゴツしていて、流麗という言葉は当てはまらない。拡大した部分だけ凹凸が激しい。そのあたり、ショルティなんかの演奏と一線を画するところだと思う。彼は豪腕といわれるけど、音楽の手触りは実はとてもなめらかだ。
どちらをとるかは好みなんだろうけど。
ブーレーズの演奏はこのように一貫しているけど、というより一貫しているがゆえに、曲によってムラがあるように思う。この「夜想曲」については、目覚しい効果をあげている。
16人で歌われる女声合唱が、官能的でステキだ。
CBSの録音は、やや乾いていて見通しがいい。
1968年12月、ロンドンでの録音。
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