ブラームス ピアノ協奏曲第2番 ホロヴィッツ(Pf) トスカニーニ指揮NBC饗冒頭のホルンから、すごく筋肉質である。贅肉がすべてそぎ落とされたようなスリムなスタイルで、色気もそっけもなく、じつにあっけない。
そのあとに入ってくるテーマでの、ヴァイオリンの切り込みの鋭さは、この演奏におけるその後の展開を示唆している。
予想通り、うわついたところのない峻厳なブラームスである。
全体を通して速いテンポが小気味いい。
この演奏では、作曲家がイタリアの風土に感銘を受けて作ったというエピソードをそのまま具現したような、柔らかで暖かいふくらみのあるものも多くて、そちらもいいなあと思いながら、いっぽうでこうした北国を思わせるような厳しい演奏もなかなかいいものだ。
ホロヴィッツのピアノは俊敏。こうしたカタイ(?)曲をあまり得意としていないイメージがあるが、トスカニーニの厳格なテンポ設定の枠の中で、弾き崩した遊びを少しだけみせていて、いつもの豪快なパフォーマンスの一端を垣間見ることができる。とはいえ、やはり少々もてあましているようにも聴こえる。
もしかしたら、もっと自由に、派手に立ち回りたくてうずうずしていたのかもしれない。
1940年5月、ニューヨークでの録音。
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