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リヒターのバッハ「ゴルトベルク変奏曲」

2008.03.01 - バッハ

bach

バッハ「ゴルトベルク変奏曲」 カール・リヒター(cmb)


TDKのオリジナル・コンサートのシリーズが廉価になって再登場。昔、FM東京で放送されていた演奏の復活である。
そのなかでも、リヒターのバッハは以前から「異様な演奏」と評されていたので、気になっていた。
それが1050円の廉価で店頭に並んでいたので、迷いはなかった。

リヒターのこのライヴは、清濁併せ呑んだ巨大な演奏であり、あまりの奔放さに一歩引くほどだ。
テンポのゆらいだアリアから始まり、風のない海のようなおだやかな部分があるかと思えば、急に激情にかられた嵐のような場面もありで、たいへん忙しい。
ミスタッチは多い。
特に前半が顕著。音を外すどころか、楽譜をすっ飛ばしてまた元に戻るような場面もあってひやっとさせられる。でも、その後はなにもなかったかのように躊躇なくガンガンと進んでゆくので、全く停滞しない。
あたかも即興でカデンツァを弾くかのごとくであり、オレ流まっしぐらだ。
リヒターの使っているチェンバロは、モダン・チェンバロというそうだが、確かにレオンハルトの演奏に比べると音が全然違う。
まず、音が重い。それと、レジスターの変更という技法を使用しているところが効果的だ。
それは、ときにはツィンバロンのような、ときにはリュートのような音を醸し出し、それが単独で現れたり、通常のチェンバロの響きと組み合わさって鳴らされたり、変幻自在の音の世界が繰り広げられる。
駆け抜ける激動のジンセイのようなバッハである。
こういう演奏を許容する、この作曲家の懐の深さはいまさらながら底知れない。
ダテに子供を20人も作ってはいない。
なお、弾き手のリヒターも絶倫だったらしい。

1979年、石橋メモリアルホールでのライヴ。
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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま こんばんは

TDKのオリジナル・コンサートのCD
私はベームのものを購入しました。
モツアルトの29番の収録されているものでしたが、思い出ではもの凄く遅かったと思っていたのですが、今聞いてみると、それほど遅くもないなって思いました。

リヒターの演奏は、大昔、アルヒーフ・レーベルのLPで色々と聞いたことがありましたが、今はまったく聴いておりません。

そういれば「ゴルトベルク変奏曲」のCDを持っていませんでした、爆~。主題だけはゼルキン師の録音があるのですが~。
徐々にバッハも聴いていこうと思っているところです。

ミ(`w´)彡 
2008.03.01 Sat 19:07 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

TDKのオリジナル・コンサート、嬉しい廉価の登場で、リヒター以外でどれを買おうか迷いました。
結局迷った挙句、リヒターだけになってしまいました(笑)。
ベームのは、77年の公演でしたね。当時、あれをテレビで観たものです。
ベーム・ウイーンを生を聴かれたのですが、貴重なご経験ですね。

この演奏、かなりショッキングなものでした。
こんなに劇的で起伏のあるバッハはめずらしいのじゃないかと思います。ライヴならではの傷も、迫力を増すための味になっています。
忘れられない演奏です。
2008.03.02 10:44
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