根津美術館へ「誰が袖図」のコレクションを観に行く。
これは、屏風にたくさんの衣装を掛け並べた様子を描いたもの。見た人は「これは誰の袖なのか」とそれを着る人の面影をしのぶ、という趣向になっている。
というのはパンフレットの受け売り。朋友にたまたま連れてきてもらったので、見るのはもちろん、初めて知った。
この美術館には3点が展示されてあった。数は少ないけれど、なにしろ大物なので見ごたえがある。一言で言ってしまえば屏風に洗濯物を描いているということになるが、なんとも趣きがある。書かれたのは17世紀であるから江戸時代の初期。
当時の人はもとより、今見ても着物の持ち主を知りたくなるような、そんなちょっとしたミステリーもあり。面白かった。
シルヴェストリ指揮ボーンマス交響楽団の演奏で、チャイコフスキーの「イタリア奇想曲」を聴く。
チャイコフスキーの交響曲やバレエ曲はもとより、比較的短い管弦楽曲もまた、凡庸な指揮者がいいオーケストラを操っても面白い演奏にはならない。逆に、血管が切れそうなほどに気合いが入った指揮者が2流のオーケストラを振った演奏は、存外に面白い。このシルヴェストリはその典型。
「イタリア奇想曲」はいろいろな指揮者で多くを聴いたから、正直言って食傷気味である。この演奏も、さほど積極的に聴いたわけではない。この指揮者の選集に含まれていたからたまたま聴いたわけ。
序盤から、とても丁寧。ソロ楽器はキッチリと深い呼吸で鳴っているし、弦楽器は音色にコクがあり、アンサンブルはなかなか強靭。テンポの変化は大きいが、自然に聴こえる。小さなところも大きなところも、俺流というかシルヴェストリ流であり、味付けは濃厚だけれども、手を変え品を変えているので飽きない。チャイコフスキーへの愛をひしひしと感じないわけにいかない。
終結部は大爆発。それまでが丁寧だったから、驚きもひとしおだった。でもやはり、やられてみるとアリである。生で聴いたら、さぞ盛り上がるだろうな。
1966年7月、ボーンマス、ウィンター・ガーデンズ・パヴィリオンでの録音。
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