チャイコフスキー「眠りの森の美女」 プレヴィン指揮ロンドン交響楽団もうすぐクール・ビズの季節がやってくる。ネクタイは嫌いじゃないが、朝の忙しいときにネクタイを結ばなくても良いかと思うと少し嬉しい。それよりなにより、歩いているときや電車の中が多少でも涼しいのがいい。
ここ数年参加しているが、何故今まで、こんなにいいものがやられなかったのが不思議でならない。
ネクタイも悪くないけれど、猛暑のなかをネクタイに背広は、なにしろ尋常ではない。政府のやることは「なんじゃこれは」という類のものが多いと思うのだが、クール・ビズについては結果オーライである。
ニホンの夏は暑いですからね。
プレヴィンの「眠りの森の美女」をゴールデン・ウィークに購入して、しばらく暖めておいた。
聴くのがなんだかもったいなかったのだ。
そろそろ熟したかなという頃に、ちょびっとずつ聴いてみた。まずは1枚目をちょこちょこと。次の週に、2枚目をじわじわ。次の週に、また1枚目に戻ってコソコソと。
結局、両手で数え切れないくらいに聴いた。一度も通して聴いていないところがミソである。
ロンドン饗が実にいい。もうこれ以上は望めないくらいに冴え渡っている。重厚で弾力のある弦を土台に、木管は悲しげに時に楽しげな旋律を朗々と奏で、金管は艶やかでしっとりとした響きを惜しむことなく披露し、ここぞというときに大太鼓とシンバルの野太い音が炸裂だ。
ここまでオーケストラが光るのは、指揮者の采配がいいからに決まっているが、チャイコフスキーとの相性も抜群といえる。プレヴィンは、こうしたメルヘンを題材にした音楽をやるのがめっぽううまくて、それは「真夏の夜の夢」でも目覚しい効果をあげたが、この曲についても、この演奏があれば他には聴かなくてもいいくらい、良すぎてまいった。
何度聴いても飽きないどころか、チャイコフスキーそしてオーケストラの醍醐味にますますハマッてゆくのだ。
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