名ピアニストであったニコライ・ルビンシテインの死を悼んで
書かれた曲である。
ニコライ・ルビンシテインといえば、思い出すのが、ピアノ協奏曲
第1番のエピソードである。
チャイコフスキーがモスクワ音楽院で格別な知遇を得ていた
ニコライに対して献呈を前提にこの曲を聴かせたところ、演奏不可能
だとか独創性に欠けるなどと非難を浴びたため、結局、ビューローに
献呈したのである。
ビューローはその後ボストンでこの曲を初演して大成功を収め、
以後ピアニストの重要なレパートリーになったのである。
そんな待遇をうけたにもかかわらず、チャイコフスキーは彼を敬愛し
続けた。
ニコライの死去の知らせを聞いたとき、イタリアで作曲活動をしていた
チャイコフスキーは急遽ロシアに帰国、彼の業績を記念して作曲された
のが、ピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出」である。
この曲は2楽章からなるが、第2楽章が2部構成になっているので、
だいたい3部にわかれるといっていいと思う。
今日聴いたのは、豪華な「韓流」三姉妹(兄弟)の演奏。
チャイコフスキー「偉大な芸術家の思い出」第1楽章は、キョン=ファのヴァイオリンが光る。
内に秘めた悲劇的な感情をにじませた深い音色が聴こえる。
彼女としては、かなり抑えた弾きぶりだろう。
芯のある、手厚い響きがいい。
第2楽章では、各変奏のメリハリが明確になっていて面白い。
ミョン=フンのピアノの主導が目立つ。決してでしゃばらないが、
細かい表情の動きが的を得ていて、バランスよくアンサンブルを
整えている。
ミョン=ファは地味に聴こえるが、3つの楽器が溶け合うところでの
チェロのいぶし銀の音色には、陶酔させられる。
大体、チェロよりもヴァイオリンのほうの音が大きく聞こえるものだ。
この曲には、やはりウォッカが似合うだろうか。
このCDをさかなに一杯やりながら、チャイコフスキーに想いを
馳せてみる。
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