カラヤンの「悲愴」といっても、今回はベルリン・フィルや
ウイーン・フィルとのものではなく、フィルハーモニア管とのもの。
元ネタは、「悲愴」と「田園」そして「新世界から」という、
なんとも言いようのないカップリングの2枚組みLPである。
「新世界から」のみベルリン・フィルとのステレオで、
あとのはフィルハーモニア管での擬似ステレオ。
当時は、擬似ステものが結構多かった。
あのフルトヴェングラー/バイロイトの盤も、当時は擬似ステ
だったのではないかしら。
そのとき小学校6年生だった小生は、「田園」を買うがために、
レコード店に向かったのであった。
秋葉原は「電気のことなら石丸電気♪」に。
※関東地方だけだろうか? そういうCMがあったのだ。
少ない小遣いをひねり出して買うわけだから、「田園」と、
できればもうひとつ交響曲が入っているレコードを目指していた。
「なんとか序曲」とかでは、損な気がしたのだ。
少なくても両面で60分は超えなきゃイカン、と。
探した結果、候補がふたつあがった。
まず、「田園」と「運命」が入っているもの。指揮はカラヤン。
もうひとつが、この2枚組み。
田園/運命はたしか2000円ぐらいで、2枚組みのほうは
3000円。しかも、有名曲が3曲もはいっている。
ちょっと高いが、なんだかお得だ。
ということで、最後は費用対効果で決まったのだった。
毎日楽しく、まんべんなく3曲を聴いていたが、だんだんと
「悲愴」が好きになっていった。
特に第3楽章が気に入った。
序盤の弾むようなワクワク感と、勇壮なマーチの部分。
マーチの演奏は、今聴いても、金管楽器のキレが魅力的で、
どんな演奏にもひけをとらないと思う。
ところが、このマーチの繰り返しの部分で1箇所、金管が暴走して、
完全にずれているところがあるのだ。
編集ミスではないように思う。
明らかに、演奏の技術的なミスに聴こえる。
しかしこれが絶妙にはまっていて、慣れてくると、こちらのほうが
迫力があるのである。
後に聴いたムラヴィンスキーやジュリーニなどの演奏が物足りなく
なったほどだ。
フルトヴェングラー/バイロイト「第九」の最後の音ズレみたいな、
そんなステキな暴走ぶりである。
今は廃盤なのだろうか?
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