クリップス指揮チューリヒ・トーンハレ管弦楽団の演奏で、チャイコフスキー交響曲6番『悲愴』を聴きました(録音年代不明ですが、ステレオのようです)。
これは、とてもリズム感がよくタメがじゅうぶんに効いている演奏。1楽章では、弦楽が激しく動いて、すぐさま金管が立ち上がるところの呼吸が実に見事。トランペットは切っ先鋭いだけでなく、たっぷりとした奥行きのある響きを醸し出しています。感傷味は薄くてドライではあるけれど。
この時代(1960年前後?)のトーンハレを聴くのは初めてかもしれません。
潤いのある弦楽、朴訥かつ輪郭のハッキリした木管、ときに滑らかな味を出す金管、どのセクションも丁寧で聴きごたえがある。先日に聴いたボストン交響楽団に、そう引けをとらないのじゃないかと思うくらい。
4楽章の、たゆたうような弦は蕩けるよう。とくに最後近くのチェロがいい。いろいろあったけど、ほどよい甘さの人生かな。
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