シュナイダーハンのヴァイオリン、ヨッフム指揮ベルリン・フィルの演奏で、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を聴きました(1962年5月、ベルリン、イエス・キリスト教会での録音)。
これは名演。
軽やかなヴァイオリンは、ときに空気を切り裂くようなパッションを叩きこむいっぽう、羽毛のように温かく穏やかな音色を聴かせ、自在。ポルタメントをさりげなく添えるあたりは名人芸。
カデンツァは1,3楽章ともにシュナイダーハンの作。1楽章にティンパニの合いの手が入っているところは、クレーメルの先駆け。とても楽しそうに弾いているし、作品そのものも楽しいので、これは後世に遺してもいいくらいのカデンツァだと思います。
ベルリン・フィルのコンディションも素晴らしい。低弦がしっかり鳴っているから重厚なのだけど、不思議な浮遊感が全曲を覆っています。相応の重量があるのにフットワークは抜群。管弦楽曲・協奏曲通じて、こんなにチャーミングなベルリン・フィルは珍しいのじゃないかな。もちろん、ヨッフムの采配が冴えているということでしょう。
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