ショパン ピアノ協奏曲第2番 イングリッド・フリター(Pf) コルド指揮ワルシャワ国立フィルドナルド・O・クリフトンとトム・ラス(高遠裕子訳)の「心のなかの幸福のバケツ」を読む。
人の心はバケツである。誰かから褒められたり、優しくされるとバケツは水で満たされる。
満たされた水を今度は、ひしゃくで誰かのバケツに水を注ぎ込む。そうして相手を明るい気持ちにさせることができる。
これが、「バケツとひしゃくの理論」。
自分の水をお互いにかけあうことばできれば気分のよさは連鎖していくというわけだ。たしかにそうだろとは思う。思うけど、どこかできいたような話だ。
書いてあることはもっともだけど、バケツとひしゃくって・・・、あえて持ち出さなくてもなあ。
イングリッド・フリターのショパンを聴く。
これは、第14回ショパン。コンクールの模様を実況した録音。
1位だったユンディ・リが1番のコンチェルト、2位のフリターは2番を弾いている。
ピアノはそれぞれとてもうまいし、聴かせどころもそこそこ押さえている。コンクールなので優等生っぽいのはいたしかたない。
この演奏で注目すべきなのは、カジミェシ・コルドである。
これはスゴい、説得力のある演奏である。「これしかない」という強固な意志を感じる。テンポや強弱のつけかたはじつにオーソドックスでありながら、全ての音がイキイキと躍動している。ピアノにぴったりと寄り添っている。
著名なコンクールとはいえ、新人のピアノの伴奏であるから、おざなりになりそうな気がしたのだが、失礼だった。
チェリビダッケがミュンヘンを、あるいは朝比奈が大阪を振ったブルックナーのように、じっくりと馴染んだ、いい意味で手慣れた演奏なのである。
伴奏を聴くだけでも価値のある録音である。カラオケにしたら、ピアニストは喜びのあまりむせび泣くのじゃ?
2000年10月、ワルシャワでの録音。
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