マレイ・ペライアのピアノで、ショパンのソナタ3番を聴きました(1973年10月、ロンドン、CBSスタジオでの録音)。
今月に来日公演をする予定だったペライアの急病はとても残念でした。払い戻ししたチケット代は一夜の酒に消えました(笑)。代わりと云っては何ですが、ジャケットのショパン曲集をゆるゆると聴き進めています。
このディスクはソナタ2番とのカップリングですが、演奏はこちらが優れていると感じました。まず冒頭から魅せられる。美しい音に。それはあたかも、生まれたての真珠のような光彩を放ち、羽毛のように柔らかでもある。録音も手伝っていることでしょう。
細かなテンポの揺れと強弱の変化はインスピレーションに満ちているため、夢心地。浮世を忘れるついでにワインが進みます。
この曲はどの楽章も好きですが、強いて云えば3楽章。淡々とした佇まいのなかに、墨絵のような幻想味が立ちのぼるよう。ペライアは実に丁寧に、優しいまなざしで音楽に対峙しているようです。
彼が遺したショパンの録音は今のところキャリア前半のものが比較的多いけれども、来年の日本公演があるならば是非聴きたいものです。
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