ボロディン四重奏団によるショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲全集から、3番を聴きました(1962-72年の録音)。
この全集、13番までしかないのはメンバーが途中で西側に亡命してしまったため、などという噂も伝えられていますが、実際のところは録音年代を鑑みて、まだ作曲されていなかったとみるのが真相に近いのでしょう。
全5楽章からなり、最初の3つはわりと軽やか。諧謔的なスパイスも効いている。
アダージョは、旧ソ連時代の陰鬱な空気の震えが伝わるよう。晩年のヴィオラ・ソナタを想起するなどと云ったら穿ちすぎか。
最後のモデラートもトーンは暗め。後半の、ピチカートの伴奏にのって奏されるヴァイオリンの抑制された音色が、夢のように美しい。
これは、ボロディン弦楽四重奏団による3度(今のところ)のうち最初のショスタコーヴィチ全集だそう。
この団体のキャリアは長いからメンバーの入れ替わりがあるけれど、どの時代の演奏も質が高いと思う。
ロスティスラフ・ドゥビンスキー(Vn)
ヤロスラフ・アレクサンドロフ(Vn)
ドミトリー・シェバーリン(Va)
ワレンチン・ベルリンスキー(Vc)
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