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"夜想曲"、ブリテン、"未完成"

2014.06.21 - シューベルト

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カズオ・イシグロ(土屋政雄訳)の「夜想曲」を読む。

これは、「夜想曲集」という音楽に関わる短編を集めたもののひとつで、一番面白いと思った。
ある理由から顔の整形手術を受けることになったサックス奏者が、隣室の有名芸能人と深夜のホテルを探索する話。
最初は淡々といきさつが説明されるが、やがてホテルの探索の場面になると、爆笑爆笑。小説を読んでこんなに笑ったのは久しぶりかも。

他の短編は、しっとりとした味わいのあるもの。それぞれ密度が濃い作品である。








ブリテンの指揮で、シューベルトの「未完成」交響曲を聴く。

この曲には、ムラヴィンスキーがレニングラード・フィルを指揮した、超強力にして悪魔的なディスクがある。あの演奏にはまってしまうと、他の演奏がどうにも甘く聴こえてしまう。猛毒である。でも、ひとまず冷静になってこの曲に立ち向かうと、他にも優れたディスクはある。クライバー/ウイーン・フィル、ケルテス/ウイーン・フィルあたりは、スタイルは違えどかなりよく出来ている。

その中で、ブリテンはどうか。
実はこのCD、ブリテンによるモーツァルトを聴きたくて入手した。ブリテンのモーツァルトは、カーゾンとの協奏曲が素晴らしかったので期待したが、やはりよかった。だがここでは、ブリテンの指揮では珍しいシューベルトを取り上げてみる。

全体的には、やはりシューベルトの悲劇的な側面を強調した演奏になっていると思う。1楽章の6分50秒あたり、ゆるゆると谷底におとされてゆくようなシーンは、とても精妙かつシリアスにコントロールしている。
2楽章も美しい。でももちろん、それだけではない。8分54秒あたりのオーボエの悲痛な叫び。決して大げさな指揮ではないのに、ドラマティック。10分10秒あたりからの寂寥感と言ったら!
シューベルトは、こんな曲を書いてしまって、そのあとに多くの作品を書きえたことが、改めて信じられない。

イギリス室内管は好調。柄が大きくて、音はしっとりしている。ソロはそれぞれ表情が豊か。

いい「未完成」である。


1970年の録音。





冷やし中華とツイッター始めました!






ma


夕暮れ。












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