シューベルト 交響曲第8番「グレイト」 カラヤン指揮ベルリン・フィル児玉聡の「功利主義入門」を読む。
ひとことで言ってしまうと、これはマイケル・サンデルの著作の二番煎じ。哲学者の「ベンサム」を「ベンタム」などと置き換えているが、『これからの「正義」の話をしよう』に比べるとはるかに密度が薄いので、読むのは楽。
功利主義の核心に迫っているとは言い難いと思いつつ、とっかかりとしてはこれくらいが良いのかもしれない。そういう意味では、私には読みやすかった。
カラヤンのシューベルト「グレイト」を聴く。
全体を通して豪奢な演奏であり、なかでも白眉は2楽章。
やや速めのテンポ設定。淡々としていながら、ほんのりとした哀愁を漂わせるオーボエのソロがまず素晴らしい。ふっくらとした色合いもいい。ローター・コッホだろうか。名人芸である。
あと、第2主題に入る経過句のところで、ホルンとクラリネットとフルートだろうか、管楽器によるハーモニーがあらわれるのだが、これが背筋がぞっとするほど美しい。時間にすればほんの数秒なのだが、なんとも言えない至福の音空間なのだ。この部分が特別に印象に残る演奏である。
1,3,4楽章は、だいたい予想通り。
1976年12月、ベルリン、フィルハーモニー・ホールでの録音。
PR