ジュリーニ指揮バイエルン放送交響楽団の演奏で、シューベルトの交響曲8番「グレイト」を聴く
(1993年2月、ミュンヘン、ヘラクレス・ザールでのライヴ録音)。
ジュリーニのこれは2度目か3度目の録音。最初がシカゴ、次がこれかベルリン・フィルとのライヴ。
シカゴとのセッション録音は、長らく聴いていてとても親しんでおり、シカゴ盤が自分にとっての標準になっている。
1楽章の第1主題をレガートでゆうゆうと奏するところは他に類をみないほどユニークな解釈であるが、これを最初に聴いて刷り込みになっているので仕方がない。
演奏内容は、テンポといい歌いまわしといい、基本的にシカゴとのものと相似しているといえる。
このバイエルンとシカゴとの違いは、大雑把に以下の3点。
1.1楽章第1主題のリズムを、太い杭のように金管とティンパニで強く鳴らせている。
2.音が全般的に柔らかい。
3.4楽章最後の和音をディミヌエンドしている。
3.については楽譜の解釈のさじ加減だと云われている。最初にこれをやっているのを聴いたのは、ショルティ指揮ウイーン・フィルで、その後いろいろな指揮者がこれを採用している(その前もあったのだろうが)。
是非については好みだろう。それよりも、ジュリーニが晩年になってなぜディミヌエンドを選んだのか知りたいところ。
全体を通して、バイエルンのきめ細かく柔和な弦楽器が、とてもいい味を出している。これもいい演奏。
春。
PR