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イストミン、シューベルト"17番"

2016.07.01 - シューベルト

ma



ユージン・イストミンのピアノで、シューベルトのピアノ・ソナタ17番を聴く
(1969年6,9月、ニューヨーク、コロンビア30番街スタジオでの録音)。


イストミンのシューベルト17番は、村上春樹の「意味がなければスイングはない」でカーゾン盤、アンスネス盤などと共に大きく取り上げられたもの。クラシック音楽ファンではない、いわゆる「ハルキスト」たちに多く聴かれた曲。というのは、この本が出版された直後に、このディスクはソニーから緊急再発売された、ということがあるから。
それを知りつつ、レギュラー価格だったので、それには手を出さなかった。そのときから10年とちょっと、ようやくこのイストミン集が出たので、購入した。
村上のこの曲に対する考察は、細部では異論がある(ギレリスに対する考察など)ものの、カーゾンとアンスネス、クリーンはよかったので、信頼している。

イストミン12枚組は、どれも素晴らしい演奏のオンパレードであるが、そのなかでもこのシューベルトは白眉。待った甲斐があった。これは、「ハルキスト」ではなく、クラシック音楽ファンが聴くべきものだ。

全体的にテンポはやや速め、端正な佇まい、ひとつひとつの音が真珠のように粒だっており、生き生きとしているところは、いかにもイストミンらしい。そしてここでは、細かなテンポの揺れや間の取り方が面白い。
うららかな空気は春の芳香を満たしつつ、この部屋に立ち昇る。むせ返るようなロマンの匂いに、眼が眩みそう。作曲当時、シューベルトはまだ20歳代だった。

ああ、ピアノはやっぱりいいものだな。改めてそう思わずにはいられない、曲と演奏。






ma
 
春。








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Comment

きのう1曲だけシューベルト - neoros2019

内田のものをクルマでかけていました
このイストミン盤は良いジャケット装丁ですね
2016.07.02 Sat 11:14 [ Edit ]

きのう1曲だけシューベルト - neoros2019

内田のものをクルマでかけていました
このイストミン盤は良いジャケット装丁ですね
2016.07.02 Sat 11:15 [ Edit ]

neoros2019さん、こんにちは! - 管理人:芳野達司

内田の演奏は、いつか聴きたいです。
イストミン盤のジャケットはオリジナルだそうです。演奏の中身を彷彿とさせる絵は、センスがいいです。
2016.07.02 11:52

17番を久しぶりに聴きました - yoshimi

こんにちは。
シューベルトの第17番の録音で持っているのは、ポール・ルイスのCDのみです。
イストミンの国内盤は、村上春樹の本の影響で有名になりましたね。ジャケットデザインがとても洒落ているので覚えてますが、まだ聴いたことがありません。
イストミンのYoutubeのライブ録音をいくつか聴きましたが、シューベルトのソナタ(第3楽章中間部の緩徐部分)がとてもいいですね。

私が一番好きな楽章は第3楽章のスケルツォですが、第1楽章の浮き上がるような高揚感は独特ですし、第2楽章もしみじみと味わい深いです。
最終楽章のロンドの冒頭がちょっと面白くて、ピクニックに行く?みたいな感じがします。
2016.07.10 Sun 09:51 URL [ Edit ]

そうなんですよ~ - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんにちは。
シューベルトの第17番という曲を聴くのは、村上の影響であるといわざるを得ません。まあ、いつかは耳にしたのでしょうが、こんなに意識して聴くことはなかったでしょう。

イストミン盤、そしてカーゾン、クリーン、アンスネスの演奏が、村上の本で紹介されたわけですが、イストミンはかなりいいです。端正でシャイなところが。
このボックスは名演揃いですが、そのなかでもこのシューベルトは聴きものです。
2016.07.10 21:09
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