シューベルトがミュラーの詩につけた連作歌曲で、
作曲は1823年、彼が25歳の頃です。
この頃の彼は、貧困と病気にさいなまれるわ、髪の毛は抜けるわ
で散々な目にあっていたと言われています。
「詩人の恋」と並んで、失恋音楽の最高峰です。
歌詞を読みながら聴いた日には…。
恋愛していないヒトでも、焼酎1本あれば朝まで泣けます。
ヴンダーリヒ(T)/ギーゼン(P)死の2ヶ月前、36歳のときの録音です。
声に色気があり若者の性を生々しく感じさせます。
歌いまわしは繊細で儚く、若者の希望と挫折を完璧に
歌いきっています。
歌のみであれば、この盤が最もすぐれていると思いますが、
ギーゼンのピアノが表情に乏しく味気ないのが惜しい!
シュライアー(T)/オルベルツ(P)シュライアーは同曲を4回録音していますが、これは最初の
ものです。
透明感のある声で、噛んで含めるように、思い入れたっぷりに
語りかけるように歌います。
オルベルツのピアノもまた透き通っていて、歌とマッチしています。
シュライアーの以後の録音も同じような解釈ですが、「歌う」と
いうよりも「語る」ような解釈がもっと徹底してきたようです。
プロチュカ(T)/ドイチェ(P)思い入れということでは、テンポを遅めに設定したプロチュカの
歌も相当なものです。
曲ごとの表情付けが大きいことが特徴。時には笑い、時には泣き、
時には憤慨している。主人公への感情移入がたっぷりです。
ドイチュのピアノは、伴奏というよりも同列の共演者になりきり、
歌手と一緒に笑ったり泣いたりしています。
※廃盤か?
プレガルディエン(T)/シュタイアー(Hf)
イタリアオペラのようにドラマチックなのはプレガルディエン盤。
語りではなく声で勝負! 長い節回しのところはここぞと
ばかりにひっぱり、盛り上げていきますが、それがわざとらしくない
ので下品にならない。
ハンマーフリューゲルのシュタイアーは、ピアノのように雄弁。
ベーア(T)/パーソンズ(P)ベーアはバリトンの美声を聴かせます。非常に若々しいですが、
隋所に拙さを感じるのは、1曲1曲に対する掘り下げが浅いから
でしょうか。
百戦練磨のパーソンズのピアノには隙がないだけに、歌手の
未完成感が際立つのですが、それにも関わらず、捨てがたい魅力が
あるのです。
例えば「水車屋の花」での、朴訥な歌いぶりは、主人公の若さ、
拙さ、希望をあますところなく描いていて涙を誘います。
※廃盤か?
F=ディースカウ(Br)/ムーア(P)評判のいいフィッシャー=ディースカウのは、それぞれの曲の
表情づけが実に巧妙ですが、それがときに鼻につきます。
また、声の質がこの音楽に合わないような気もします。
彼の「冬の旅」は最高なのですが。
この音楽は、酸いも甘いも知り尽くした「大人」のものではなく、
未成熟な男のものだと思います。
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