シベリウス 交響曲第4番5番 カラヤン指揮ベルリン・フィル大前研一の「50代からの選択」を読む。
大実業家の多くは、だいたい20代で起業をし、30代で会社の基礎固めをするという。
30代で基礎が固まるのは勤め人も同じで、この頃には上へ上がってゆくヒトと横へ出されるヒトとの峻別はそろそろ決まっているのだと。
なので、40代50代のヒトはそこそこやっていればいいんじゃないの、と著者は言っている。
『会社はオレに25年以上も仕事を与え続けてくれた。給料をくれるわりには評価してもらえなかったし、とくに優遇された覚えもない。どちらかと言えば冷遇されてきたような気がするけれども、とりあえずクビにされることもなく、ここまでやってこられた。これがいかにラッキーなことか。もう、感謝、感謝、無限の感謝を会社に捧げるべきなのだ』。
たいした能力もないくせに、会社がオレを認めてくれない、などとグチャグチャ文句を言ってはならないヨ、と。
たまにシベリウスの交響曲を聴きたくなる。
彼の音楽は、あまりとっつきやすい音楽ではないような気がする。とくに、遅いテンポの楽章では、ひとつのフレーズがどこで始まってどこで終わっているのか、なんだか判然としないのだ。
動機というか旋律の息の長さにおいては、ブルックナーも負けていないが、ブルックナーのほうは明確でわかりやすい。このあたりは時代と国柄と人柄の違いによるものなのかもしれない。
お互い、晩年の髪型は似ているが。
それはともかく、シベリウスを苦手としながらも聴きたくなるのは、独特のひんやりとした肌触りの音響に触れたくなるからだ。
この5番は、シベリウスの交響曲のなかではわかりやすいほうだと思う。
ひんやりとした佇まいのなかに、暖かい日差しが随所に差し込んでいる。
何も考えず、音のうねりに身を任せるのがいい。
カラヤンとベルリン・フィルの響きは、どちらかといえば温度が高いもの。録音は柔らかい。
1976年9月、ベルリンでの録音。
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