ペーター・シュライアー(T) コンラート・ラゴスニヒ(G)島田荘司の「UFO大通り」を読む。老人が目撃したUFO騒動と、密室で死んだ若者が交錯する事件を、名探偵が解き明かす。大風呂敷を広げた状態から、まるで針の穴を通すようなレアなトリックと偶然を導きだすところはこの作家のやり方。いつもながらいささか無理やり感があるものの、御手洗の存在感が大きいから、やっぱり最後まで一気に読んでしまった。いい気晴らし。気晴らしばかりのジンセイ。
シュライアーとラゴスニヒによる歌曲集の3枚目。先日に紹介した民謡集よりも後の録音になる。ベルリン・クラシックスから出ているものはアマゾンで知る限りではこの3枚だけど、他にも出ているのか知ら。
選曲はじつにまっとうで、古典・ロマン派の王道とのいうべきもの。ブラームスが5曲、メンデルスゾーンが2曲、モーツァルトが1曲、ベートーヴェンが2曲、シューベルトが5曲、シューマンが1曲、あとGunther-Mittergradnegger(なんて読むのだろう)の10の歌曲。
このうちの多くはなじみのある曲で、それを鄙びたギターの伴奏でもって聴くのはなかなか格別の味わい。「子守歌」、「歌の翼に」、「音楽に寄せて」なんかは涙ものである。このコンビの第1弾「水車小屋の娘」は80年の録音で、そのときにすでに語りの境地を確立してしまったシュライアーだから、94年の当録音に至っては、もう語りの境地を極めたといっても過言ではないでしょうなあ。自らの成熟に伴い合わせる楽器も試行しつつたどり着いた、ひとつのシアワセな組み合わせなのである。ギターが実にしみじみとよいのダ。
1. 49 Deutsche Volkslieder, WoO 33 No. 16. Wach auf, mein Herzensschone
2. 49 Deutsche Volkslieder, WoO 33 No. 34. Wie komm' ich denn zur Tur herein?
3. 49 Deutsche Volkslieder, WoO 33 No. 30. All mein Gedanken
4. 49 Deutsche Volkslieder, WoO 33 No. 12. Feinsliebchen, du sollst mir nicht barfuss gehn
5. 5 Lieder, Op. 49
6. 6 Lieder, Op. 99
7. 6 Songs, Op. 34
8. Abendempfindung, K. 523
9. Adelaide, Op. 46
10. Zartliche Liebe, WoO 123, "Ich liebe dich"
11. Der Ungluckliche, Op. 87, No. 1, D. 713
12. Fruhlingsglaube, Op. 20, No. 2, D. 686
13. An die Musik, Op. 88, No. 4, D. 547
14. Lieder-Album fur die Jugend, Op. 79
15. Schwanengesang, D. 957 No. 4. Standchen
16. Greisengesang, Op. 60, No. 1, D. 778b
17. Heiteres Herbarium No. 1. Krokus
18. Heiteres Herbarium No. 2. Noli Me Tangere
19. Heiteres Herbarium No. 3. Klappertopf
20. Heiteres Herbarium No. 4. Steinbrech
21. Heiteres Herbarium No. 5. Rittersporn
22. Heiteres Herbarium No. 6. Stengelloser Enzian
23. Heiteres Herbarium No. 7. Taubnessel
24. Heiteres Herbarium No. 8. Zittergras
25. Heiteres Herbarium No. 9. Schlusselblume
26. Heiteres Herbarium No. 10. Tausendguldenkraut
1993年1月、ベルリンでの録音。
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