エルガー 「エニグマ変奏曲」 ヨッフム指揮 ロンドン交響楽団ここのところ、トマトが安くてうまいので、週末の料理に欠かしていない。
台湾にはトマトをベースにした麺料理がある。麺といってもパスタではなく、いわゆるうどん粉の麺である。現地ではとてもメジャーなもので、見たときはちょっと違和感を感じたが、食べてみると酸味がほどよく、うまみもじゅうぶんに利いていて、とてもうまいものである。
日本の自宅で作ろうとすると、あの独特のコシのある麺が手に入らないから、同じものはなかなか作ることができない。なので、普段作るトマト麺はもっぱらパスタなのである。
我が家では、にんにくと玉ねぎとベーコンを炒めて、ホールトマトと生トマトを手でつぶして作るソースが定番であった。もちろん美味しいものだが、毎週末作ると少々マンネリになった。
そこで、ちょっと違うトマト麺料理をひねり出した。といっても、いたって簡単なので、偉そうに紹介するほどのものではないのだけど、これは予想以上にうまかった。
1.スパゲッティを固めに茹でる。引き上げる1分前に、キャベツの千切り(多めのほうがうまい)を同じ鍋に投入。
2.フライパンにオリーヴオイルをしいてにんにくを色づくまで炒める。
3.フライパンにスパゲティとキャベツを投入し、シーチキンと適当に切ったトマトを入れて混ぜる。塩と黒胡椒で味付け。
シーチキンとトマト、そしてキャベツのハーモニーが、あたかもブラームスの室内楽曲のように渾然一体となっていて、おいしい。
ブラームスかどうかはともかく、オススメです。
イギリス音楽のCDは普段あまり購入しないが、ヨッフムが指揮しているので聴いてみる。
ロンドン響が相変わらず重心の低い響きを醸し出していて、音そのものはいかにもイギリス音楽といった感じの雰囲気で、全体的には作品をザックリと鷲づかみにした大柄の演奏だ。この曲を聴いていつも感じる「くもり空」みたいな風情は薄くて、どちらかといえば太陽が惜しげもなく輝いている天気のよう。仮に「くもり空」がアングロ・サクソン風のワビ・サビだとしたら、これはあられもなく外人の手によるものだ(どっちにしてもな)。
エルガーのシンフォニーは、ときにブラームスのそれに例えられることがあるようだが、こういう演奏を聴くと、確かにブラームスの近所にいる音楽のような気がする。
最近、ヨッフムの演奏をわりとよく聴くが、けっこう剛腕な指揮者だということを再確認した。今さらか。
1975年3月の録音。
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