ムジカ・チェレステの木曜コンサートに行きました(2017年8月24日、渋谷、チェレステ・スタジオ松濤にて)。
薮田瑞穂(ソプラノ)
上本訓久(テノール)
河野真有美(ピアノ)
佐藤智恵(ソプラノ)
チェレステ・スタジオは収容人数40名ほどのサロンホール。音響はややデッドなものの、客席が演奏者と近いため、息遣いを直接感じられるような生々しい響きを体感することができます。
この日も、そうでした。
とくに印象に残る演奏は以下の通り。
カルディッロの「カタリ・カタリ」。
上本さんのテノールが冴え渡りました。艶やかな声質と自然な抑揚は臨場感たっぷりで、思わず手に汗を握りました。
ジョルダーノの「アンドレア・シェニエ」から「亡くなった母を」。
ソプラノの薮田さんはたっぷりとした肉厚の声でもって、緊張感のある劇的な歌唱を繰り広げました。最初の曲目解説と相まって、琴線に触れないわけにはいかなかった。
名演です。
プッチーニ「マノン・レスコー」からは、「みたこともない美人」、初めて経験するような、みずみずしいときめきが、輝かしいテノールから生まれ出されました。
「トゥーランドット」から「誰も寝てはならぬ」。
上本さんが、ストレートに歌いきりました。この曲、歌うひとが歌えばやはりいい。
ピアニスト河野さんが奏でる音楽は、つねに暖かい血が通っていました。軽やかで色彩に満ちた高い音、適度な重量感がある中低音は、羽毛のようなしなやかさと柔軟さを兼ね備え、歌の土台をしっかりと支えつつ、自らもしっかりと主張していました。フォルテシモでも、音が割れない。透明。
そして、繊細なソノリティは、あたかも命の弾みを圧縮したよう。密度の濃さに痺れました。とりわけ、後半のオペラは出色だったと思います。
パースのビッグムーン。
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