筒井一貴さんのチェンバロ・リサイタルに足を運びました(2020年10月10日、ソフィアザール高円寺バロックにて)。
筒井さんの鍵盤楽器を聴くのは、たしか池袋の自由学園でやったシューベルト以来。すっかりご無沙汰したけれど、彼の洒脱なお喋りを聞いて、そう、こんな雰囲気のなかで音楽を楽しんだのだったと思い出しました。
ヘンデルの音楽はおおらかで気取りがないとのイメージを勝手にもっていますが、それを裏付けてくれるような演奏。ゴルトベルク変奏曲の一部に似た曲想は壮麗にして、またところどころ可憐でもあり、強い吸引力を持っていました。
今まで、クーナウを聴いたことはあるかもしれないけど記憶にない。そのくらいのものだったけど、この壮大なソナタは、さぞ当時の聴衆の心を掴んだことでしょう。なんてドラマティックな音楽!
パッヘルベルもまたカノンくらいしか知らなかった。初秋の夕暮れのようにしっとりとした曲を、慈しむように弾いていました。
ハイドンのソナタをチェンバロで聴くのは初めて。グールドのピアノが切っ先鋭いモダンな建造物だとしたら、筒井さんのチェンバロはお喋り同様に、知的で軽妙なユーモアに溢れたもの。
なるほど、チェンバロでのハイドン、アリアリ大有りだなぁと、しみじみ感じました。
アンコールはヘンデル・ヴァリエーションの原曲と、ゴルトベルク変奏曲のアリア。
ヘンデル シャコンヌ
クーナウ ソナタ4番
パッヘルベル アリエッタ
ハイドン ソナタ6番
ソナタ33番
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