河野真有美さん主催による、ガラ・コンサート&「トスカ」ハイライト公演に足を運びました(2019年10月5日、やなか音楽ホールにて)。
ヴェルディ「シチリア島の夕べの祈り」から「ありがとう、愛する友よ」
ヴェルディ「マクベス」から「哀れみも誉れも愛も」
プッチーニ「トゥーランドット」から「誰も寝てはならぬ」
プッチーニ「つばめ」から「ドレッタの美しい夢」
ヴェルディ「運命の力」から「隠れても無駄だアルヴァーロよ」
プッチーニ「トスカ」(ハイライト)
プログラミングの妙。まずそれを感じました。前半は名刺代わり。各人の持ち味を披露し、後半は演技を交えてじっくりと聴かせる。上質のオードブルとメイン料理を味わえる、素敵な秋の昼下がりになりました。
前半はアリア集、知っているものもあれば初めて聴く曲も。とりわけ「運命の力」の、テノールとバリトンによる二重唱に感銘を受けました。黄金のトランペットとも云える松岡さんと、たっぷりとドスの効いた小林さんのせめぎあいは迫力たっぷり、まさに手に汗を握る様相。
後半は「トスカ」。ハイライトといいつつ、このオペラのエッセンスを網羅していたと言えましょう。
歌手はみな、掛値なく素晴らしかった。声そのものの味わい深さに加え、このオペラに欠かせない劇的要素もふんだんに盛り込まれていた。特に印象に残ったのは、一幕ラストのテ・デウム。スカルピアの、スタヴローギン的とも言える陰鬱と諧謔が混じり合ったような歌いぶりと、オーケストラ版のオルガンの音色を彷彿とさせるピアノの響きが相まって、ある種幻想的な世界を彩っていました。全身が震えた。
歌の巧さと容姿の美しさの点で理想的とも云えるトスカ、そしていかにも実直な男の色を纏ったカヴァラドッシ。それぞれの澄んだ声とパッションに満ちた演技も文句のつけようがなかった。
ピアニストは元来、細かなニュアンス作りに長けています。それに加えて、この半年くらいでマッシヴな力強さをも身につけた。
このトスカにおいて、伴奏がオーケストラではない不満は、微塵もありませんでした。
コンサート後は懇親会で仲間と酩酊。お疲れ様でした!
大音絵莉(ソプラノ)
松岡幸太(テノール)
小林大祐(バリトン)
河野真有美(ピアノ)
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