タイトル・ロールは熱演だとは思いましたが、ヴィブラートが多くかかった歌唱があまり好みではありませんでした。しかも時々声が裏返っていた。不調だったのかもしれません。それとは対照的に、ジェラールはよかった。ずっしりと落ち着いた声と佇まいは厚く、劇全体をしっかり支える役割をも果たしていたように感じました。
マッダレーナは極めて安定していた。彼女は高音の伸びのよさが特長なのですが、ここでも惜しみなく披露してくれました。だんだんと尻上がりに良くなっていき、三幕の有名なアリア「亡き母」で頂点に達しました。音楽を聴いて、久しぶりに泣きそうになりました。
あと、オーケストラも素晴らしかった。たぶん、現役の音大生とその卒業生で編成されているのではないかしら。ダイナミックな指揮の下、瑕疵の少ない、イキイキとした演奏を聴かせてくれました。とりわけ、木管楽器が優れていたように感じました。
区民オペラを観るのは、新宿・豊島・文京とこれで4つ目です。なかなかどこも頑張っていて、素晴らしいなぁ。
終演後、このホールはロビーが狭くてごった返していたので、薮田さんとはお会いできませんでした。
指揮:諸遊耕史
演出:土師雅人
演奏:江東オペラ合唱団・管弦楽団
出演
アンドレアシェニエ:小貫岩夫
マッダレーナ:藪田瑞穂
ジェラール:杉野正隆、他
パースのビッグムーン。
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