かねてから楽しみにしていた東京ルフトアンサンブルの演奏会に行った。
演目は、シューマンの第4交響曲とブラームスのドッペル。どっしりとしていて、かつピリッと締まったいいプログラムである。
ただ、残念なことに後半しか聴くことができなかった。
行きの電車でトラブったのだ。
ホールの最寄の航空公園駅へは、本川越から西武新宿線の上り電車に乗っていくというルートであった。20分くらい乗ることがわかっていたので油断をし、2駅目を過ぎたあたりからウトウト、というより一気に夢の世界に突入してしまった。
そして、気がついたら西武新宿駅。
たまげた。
もう前半には間に合わないとはいえ、新宿にいても仕方がないので、同じ電車で戻ることにした。
いくら無料のコンサートとはいえ、また桜咲く春ウララの好天気とはいえ、気を緩めるのもたいがいにしないとな。
ブラームスの編成は、ヴァイオリンが3プルト、コントラバスが2丁という、比較的小さいものだった。ただ、今はやりのピリオド奏法によるものではなく、昔ながらというか、ヴィヴラートをきかせたモダンなスタイルをとる。
指揮者は置かないので、いわばオルフェウス室内管のようなイメージのオケである。いくら小編成とはいえ、ブラームスを指揮者なしで演奏するのは、けっこう珍しいことだと思う。
アンサンブルはどうかという懸念はあったが、危なげはなかった。むしろヴァイオリン群を軸に、丁寧に抑揚をつけたいい演奏と言える。
チェロのソロは、ふくよかで厚みがあって、いい音を出していた。音がぐっと重い。チェロはこうでなくちゃ。
ヴァイオリンは、線を細めにとって、鋭角的なもの。特段きれいな音というわけではないものの、表情を豊かに弾き分けていた。まろやかなチェロとは対照的だったように聴こえた。
ふたりは、ともにルツェルン祝祭管弦楽団のメンバーとして顔を出しているそうな。
ミューズアークホールで聴くのは初体験。今日は1階の後方に座って聴いたが、見晴らしもよいし、音もよく響いていた。
全体のフォームといい、残響の多さといい、すみだトリフォニーに似ているようだ。また行ってみたい。
航空公園駅前にて。
2012年4月8日、所沢市民文化センター、ミューズアークホール。
PR