新国立劇場、東京文化会館、ザルツブルク・イースター音楽祭、ザクセン州立歌劇場の国際共同制作による、ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」公演に足を運びました(2021年12月1日、新国立劇場オペラパレスにて)。
当企画、過去2回キャンセルの憂き目にあったので、これが3度目の正直。最後にも書きますが、聴くことができてよかった。
テンポは全体的に遅め。なので、2幕最後のフーガは違和感あったけれど、アンサンブルの精緻さは感じられました。総じて、1幕の集中力が強かったように思います。
歌手は、終始ふくよかで奥行きのある声を聴かせたザックスと、12月のキリッとした空のような佇まいのダーヴィット、そして梃でも動かないような腰の据わったコートナーが秀逸。そして、我らがクンツも張りのある響きを聴かせてくれ、好調でした。
合唱はいいようもなく素晴らしい。
演出はよくわからず。
評議会の場面における、まるで駅の待合室みたいな設定は面白かった。ただ、回転舞台や2階屋については、どのくらいの効果があるのか、実感できませんでした。
以上、いくつか文句を垂れましたが、ワーグナー畢生の大作は4時間30分を超える間、微塵も滞るところなく常に違う景色を見せてくれ、座席に座っている間は終始、豪奢で豊かな気分に浸らせてくれました。
だから当公演に足を運んだ甲斐はじゅうぶんにあったし、冥土の土産にもなるなぁと、しみじみ思います。
ハンス・ザックス:トーマス・ヨハネス・マイヤー
ファイト・ポーグナー:ギド・イェンティンス
クンツ・フォーゲルゲザング:村上公太
コンラート・ナハティガル:与那城 敬
ジクストゥス・ベックメッサー:アドリアン・エレート
フリッツ・コートナー:青山 貴
バルタザール・ツォルン:秋谷直之
ウルリヒ・アイスリンガー:鈴木 准
アウグスティン・モーザー:菅野 敦
ヘルマン・オルテル:大沼 徹
ハンス・シュヴァルツ:長谷川 顯
ハンス・フォルツ:妻屋秀和
ヴァルター・フォン・シュトルツィング:シュテファン・フィンケ
ダーヴィット:伊藤達人
エーファ:林 正子
マグダレーネ:山下牧子
夜警:志村文彦
管弦楽:大野和士指揮 東京都交響楽団
合唱:三澤洋史指揮 新国立劇場合唱団、二期会合唱団
演 出:イェンス=ダニエル・ヘルツォーク
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