岩田健志さんのバリトン、遠藤恵美子さんのピアノによるリサイタルに足を運びました(2021年10月10日、ソフィアザールサロン駒込にて)。
ブラームス:「日曜日」、「愛の歌」、「まどろみは、ますます浅く」、「甲斐なきセレナーデ」
シューベルト:連作歌曲集「白鳥の歌」
ブラームスの歌曲には激渋なものが少なくありませんが、ここではロマンの香りにむせるような歌を4つ取り上げていました。
甘すぎず、感傷的にならないギリギリの線で踏みとどまり、かつ端正な佇まいの歌を聴かせてくれ、心地よかった。
「白鳥の歌」を久しぶりに聴きましたが、やはりというか、非常に重量感のある歌が多い。前半のレルシュタープの詩によるものですら、それは例外じゃない。
そのなかで、ハイネの詩による曲の、陰鬱でありながらも堅牢な構造物のような威容を、バリトンにしては明るいトーンでもって、緩急を織り交ぜながら瑞々しく歌い上げた岩田さんは見事だったと思います。
最後に「鳩の便り」が来ると、良くも悪くも現実世界に戻ってきたとの実感が沸きます。これは、出版商による編集の妙。
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