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ユベール・スダーン指揮、東京交響楽団、"ファウストの劫罰"

2016.09.25 - 演奏会

ma


 
ユベール・スダーン指揮、東京交響楽団・他の演奏で、ベルリオーズの「ファウストの劫罰」を聴く(2016年9月25日、ミューザ川崎シンフォニー・ホールにて)。


スダーンを聴くのは、確かこれが2度目。最初は20年くらい前だったろうか。演目を忘れてしまったし、彼のスタイルもうろ覚え。
CDはベリオの「レンダリング」を持っていてときどき聴く。端正な佇まいの演奏である。
東響のサイトによれば、彼はフルネの弟子だという。なるほど、それで今回のファウストか。期待を胸に川崎へ。

*---------

第1部が始まってしばらくして、この指揮者の特長を思い出した。
真面目、なのである。どこを叩いても揺るがない堅実さがある。その一方で、意外性はなかなか求められない。なので全体のリードは最後までおそらくオーソドックスなものと推定でき(最後まで聴いて、やはりそうだった)、そうなると聴きどころは歌手と合唱の技量に興味が湧く。

ファウストは、声の良さに加えて、フランス語の鼻にかかる音の濃厚なところが気に入った。こういう発音は、ディスクでも意外と少ないのだ。抑揚も大きい。
この曲はファウストが出ずっぱりだから、畢竟、このテノールの出来如何で演奏の質が変わる。彼はじつに素晴らしかった。全体を完璧に引き締めた。
メフィストフェレスは、筋肉質で引き締っており、尚且つ重厚。声量もたっぷりしていて、とても安定していたと感じた。ただ、このメフィストはかなりのインテリだ。もっと下品で悪どいほうが好み。
マルガリータは、声にはとくに特色はないように感じたが、ファウストとの二重唱は、力強い情感に溢れていて良かった。
ブランデルは、輝かしい。でも、安定感は、他の3人に及ばなかったか。
ちなみに、ソロ歌手たちは、オーケストラの後ろにいた。

合唱はまるでひとりの声であるかのようなアンサンブル。時には壮烈に、ときには柔らかく。暗譜だったことは恐れ入る。

指揮は、一部でオーケストラと合唱との音量のバランスを欠いていたものの、全曲を通じて安全運転であり、安定していた。だから、逆に言えば、ベルリオーズの作品に於ける「書きつくしたうえの未完成」感は、払拭できなかったように思う。
でもオーケストラは見事。とくに「狩り」でのホルン四重奏、「地獄への騎行」でのオーボエ・ソロが出色。これだけの音を聴かせる日本のオーケストラは、ここ以外にあるか知ら?

「ファウストの劫罰」を演奏会で聴くのは、10日の高関・東京シティフィルに続いて今月2度目。
こんなことは、もうないだろうな、たぶん。


 
ファウスト(テノール):マイケル・スパイアーズ
メフィストフェレス(バス):ミハイル・ペトレンコ
マルグリート(メゾソプラノ):ソフィー・コッシュ
ブランデル(バスバリトン):北川辰彦
東響コーラス(合唱指揮:安藤常光)
東京少年少女合唱隊(合唱指揮:長谷川久恵)













ma
 
屋根の上のパーティ。








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