ボローニャ歌劇場による、ヴェルディの「リゴレット」公演に足を運びました(2019年6月21日、オーチャード・ホールにて)。
主役級の3人は手堅くまとめた以上の歌いぶりを披露してくれ、堪能しました。
ジルダのランカトーレは、凄く綺麗な声というわけではないものの、音程のコントロールが絶妙。また、何度も登場する超高音を難なく捌くところに唸ったし、血が騒いだ。
実物の彼女はずいぶんと小柄なのが意外でした。顔写真ではわからない。当たり前。
マントヴァは曲によって若干のムラを感じました。「女心の歌」はもう少し力強さがあってもいいのかと。それに比して、ジルダとの二重唱においては艶やかな高音を惜しみなく聴かせてくれ、これには背筋がビリビリと痺れました。
リゴレットは貫禄の出来。ガザーレは、たしか昨年にジェルモンを聴いたはずで(うろ覚え(^_^;))、それも素晴らしかった記憶がある。彼の場合、歌もいいけれど風貌もイカしている。マントヴァより見栄えがいいところにやや違和感があったけど、これは致しかたない。
オーケストラは実にまろやか。とりわけ弦楽器は、木のぬくもりのような懐かしさと自然な柔らかさが醸し出されており、歌手が登場しない部分でも退屈しませんでした。歌とのタイミング、劇的な迫力もじゅうぶんであり、指揮者の力量は高いと見ます。ずいぶんと若い人のようだけど。
舞台はポップアートを思わせる意匠とカラーで彩られていて、いわゆるオーソドックスなものではなかったけれど、なかなかに楽しいものでした。
マントヴァ公爵:セルソ・アルベロ
リゴレット:アルベルト・ガザーレ
ジルダ:デジレ・ランカトーレ
スパラフチーレ:アブラーモ・ロザレン
指揮:マッテオ・ベルトラーミ
合唱指揮:アルベルト・マラッツィ
演出:アレッシオ・ピッツェック
演奏:ボローニャ歌劇場管弦楽団・合唱団
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