ルドルフ・ブッフビンダーのピアノ・リサイタルに足を運びました(2019年9月23日、東京オペラシティ、タケミツ・メモリアル・ホールにて)。
ベートーヴェン
ソナタ8番「悲愴」
ソナタ21番「ワルトシュタイン」
ソナタ23番「熱情」
この人のベートーヴェン、CDでいくつか聴きました。その限りだと、とてもふくよかなピアノを聴かせるという印象。慌てず騒がず、どっしりとしている。
この日の演目であるベートーヴェンの中期作品に、正直言って最近はあまり興味を持てないのですが、彼の実演を聴くのは初めてなので楽しみにしていました。
果たして、好みではなかった。
彼はこれらの曲を、おそらく何千あるいは何万回弾いたか知れない。だからでしょう、技巧的にとても安定していました。音に弾力があり、かつフォルテシモでも濁らない響き。並大抵ではないと思われます。
ただ気になったのは、恣意的なテンポの変化。幹ではなく、枝葉末節に拘泥した度重なる速度のゆらぎは、口当たりは良いけれども全曲を通してみると、罪のない華やかな装飾に過ぎないように感じられ、琴線に触れることはなかった。終始ゾワゾワするような気分でした。
終演後はブラボーの嵐。マイノリティを感じたなぁ。
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