サカリ・オラモ指揮 BBC交響楽団の来日公演を聴きました(2018年3月11日、サントリー・ホールにて)。
オラモさんの演奏で印象的なのは、シューマンの交響曲。ストックホルム・フィルの肌理細かな響きを生かして幻想味に満ちた音世界を繰り広げた名演であり、全集としては第一に推したいディスクです。
それと、BBC交響楽団を生では聴いたことがなかったこともあり(ロンドンの五大オーケストラのなかでは、ロイヤル・フィルも未聴)、足を運びました。
ラフマニノフ ピアノ協奏曲2番(ピアノ:小菅優)
マーラー 交響曲5番
小菅さんのピアノもまた初めて聴きました。テクニックは極めて安定しており、フォルテシモでも濁らない音色は弾力感があって柔らかみがあります。
オケが手加減しない音量で弾いていたので、時折ピアノはかき消されましたが、それを除けばパワフルな演奏と言えると思います。
マーラーは1楽章と2楽章、そして4楽章と5楽章をアタッカにしていたので、指揮者は全体を三部構成と考えていたことが推察されます。
ということは、3楽章が大きな転換点であるはずです。この3楽章は5番だけでなく、マーラーの全交響曲の変容の大きな拠点であるところ。結果として、出ている音響は申し分なかったものの、後期の入り口としての、陰影というか奥行きに今ひとつ物足りないものがありました。ソツなく演奏していた、そのソツのなさがいけなかったか?
それにしても、上手いオーケストラ。単に技術的観点から言えば、東京のオーケストラと差がないように感じますが、フレーズの息遣いの深さと表情の濃さという点で、一枚二枚上なのじゃないかと思いました。
パースのビッグムーン。
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