]ルドルフ・ゼルキンのピアノで、シューベルトのピアノ・ソナタ20番を聴きました(1966年2月、ニューヨーク、コロンビア30番街スタジオでの録音)。
最近この曲を、ポリーニのピアノで毎晩のように聴いています。これは、1985年のザルツブルクでのライヴで、NHKFMからエアチェックしたもの。カセットテープの塩梅によるのかもしれないけれど、音が存外柔らかい。ニュートラルなスタイルはいかにも彼らしいところ。
それに比べて、ゼルキンのはメリハリが強い。エッジが効いていると言うか、滑舌がハッキリしている。なので1楽章は極めて快活。聴いて元気が出るくらい。2楽章ではそれに相対するような佇まいを醸し出しています。
シューベルトの晩年の作品にはときおりデモーニッシュな陰が伺えるとはよく言われるところですが、この作品においては2楽章がそれにあたるように感じます。ゼルキンのピアノは力強く、躊躇なく、迷いなく、シューベルトの深淵に深く斬り込み、その暗部を白日の下にさらけ出しているかのよう。
3,4楽章は、明るいトーンが曲にすんなり馴染んでいて、健康的と感じられるほど。
全曲を通して、とても聴きごたえのある演奏です。
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