ガヴァッツェーニ指揮ミラノ・スカラ座、他の演奏で、ヴェルディの「仮面舞踏会」を聴きました(1960年、ミラノ・スカラ座での録音)。
歌手、合唱、オーケストラのバランスがとてもいい演奏だと感じました。
このオペラにはあまり馴染みがないのですが、数年前にショルティ盤(ニルソン、シミオナート、ベルゴンティなど凄いメンツ)を聴いて「ずいぶんと賑やかな曲だなあ」との印象を持ちました。このディスクを聴いて、ますますその感を強くしました。
歌手ではまずポッジ。カラッとした歌声は5月の快晴の空の如く、若々しい甘さと男臭さがある。伸びやかで気持ちのいい歌唱をたっぷりと聴かせてくれる。
バスティアニーニも好調。重すぎない歌いぶりであって、淡い色彩が広がるような情感が伝わります。
ステッラは地声がシックであって、知性を感じさせる歌いぶり。知性の高い女性には弱いので、この魅力には抗しがたいものがあります。
ラッツァリーニは「地獄の王よ」でたっぷりとドスのきいた、そして存在感のある歌を聴かせます。
ガヴァッツェーニのオーケストラは、覇気が漲っていてトーンが明るい。しっとりとした音色の弦楽器と、シャッキリと浮き立った管楽器とのコントラストの妙味があります。
合唱は野趣のスパイスが匙一杯きいている。いきがいい。
録音も明瞭で素晴らしい。
アントニエッタ・ステッラ(アメリア)
アドリアーナ・ラッツァリーニ(ウルリカ)
ジュリアーナ・タヴォラッチーニ(オスカル)
ジャンニ・ポッジ(リッカルド)
エットーレ・バスティアニーニ(レナート)、他
ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団
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