ヴィヴァルディ 「四季」 ストコフスキー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団北野武監督の「アウトレイジ」を観る。
暴力団の抗争を描いた映画で、最初から最後まで暴力のオンパレード。殺しかたに工夫をこらしているのが印象的。
昔に読んだ花村満月の「笑う山崎」では、さまざまな人の殺し方が描かれていたが、それを思わせる。いずれも、「ゴッドファーザー」の影響があるのかな。
ことに、歯医者のシーンはすごかった。
敵のヤクザが歯を治療しているときに乱入し、体を押さえつける。そして、歯を削る器具でもって、ちからまかせに口の中をグリグリと・・・痛たたたた。
御大によるヴィヴァルディ。
ストコフスキーのことだから、打楽器や金管が百花繚乱する華やかな演奏かと思ったが、編成そのものは、「四季」にしては大きいとはいえ、弦楽器とチェンバロを用いたオーソドックスなもの。
変化をみせるのは、各楽章の終結部。急ブレーキをかけるように、テンボを落とす。最初は少しビックリしたが、曲が進むにつれて慣れてきたというか、むしろこれが自然なのじゃないかと思えてくる。フシギだ。
弦の分厚い響きが特徴。カラヤンよりも大編成に感じる。おおらかで広がりのある四季だ。
なかでもよかったのは、冬の1楽章。会社帰り、駅の構内から外に出る階段を下っているときに、ちょうどこの曲が流れてきた。痺れた。タイミングもよかったのだろう、疲れた心身にじんと沁みた。
1969年の録音。
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