チッコリーニのピアノで、リストが編曲したオペラ・パラフレーズ集を聴きました(1982年3月、1990年4月、パリ、サル・ワグラムでの録音)。
ワーグナー「イゾルデの愛の死」
グノー「ファウストのワルツ」
ドニゼッティ「ルチアとパリジーナによるコンサート・ワルツ」
ヴェルディ「リゴレットによるコンサート・パラフレーズ」
ヴェルディ「ボッカネグラの思い出」
ヴェルディ「トロヴァトーレのミゼレーレ」
ヴェルディ「アイーダの神聖な踊りと終幕の二重唱」
チッコリーニは、若いころからたまに触れていたピアニスト。
でも、彼のスゴさをわかったのは、ここ数年のこと。こういうことは、しばしばあります。
なにはともあれ、音がいい。ダイヤのように硬質で、透明。同じイタリア人では、ポリーニよりずっと綺麗。
リストのこうした曲は、「巡礼の年」や「詩的で宗教的な調べ」とは異なり、たぶんにケレン味がある。オペラにケレンがあるならば編曲してもそこは同じ。もちろん一興で、チッコリーニもそこは抑えない。大いにひけらかしている。それがことのほか、上品。テンポが一定だからかな。あたかも、王妃のような風格と芳香が立ちのぼるかのよう。
「ルチア」におけるトリルの艶やかさ、「リゴレット」で煌めく星屑、「ボッカネグラ」の淡い情感、「アイーダ」は夕闇のような感傷。
堪能しました。
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