ラヴェル 室内楽曲集 パレナンSQ他中越裕史の「なぜあの人は楽しそうに働くのか」を読む。
朝日新聞に掲載されている「仕事力」というコーナーで以前、内田樹はこう言っていた。
「仕事というのは自分で選ぶものではなく、仕事の方から呼ばれるものだ」。
よく言う「自分に合った仕事を見つける」といった考えとは逆の態度である。なるほどとうなづける。
この本にも、似たような記述がある。
「僕たちが人生に、意味を問いかけるのではなく、人生が僕たちに意味を問いかけている」。
私がおかれている状況は偶然性が強い。となれば、その偶然が私に何かを問いかけている、ということだと解釈できる。
偶然による新たな出会いが、次の仕事だ。
いい出会いが、あったらいいな。
パレナン四重奏団によるラヴェルを聴く。この団体による新しいほうの演奏。
ラヴェルというえば管弦楽法の名手として名高いが、室内楽も魅力的だ。
この曲は、まず冒頭の甘いメロディーに一気に引き込まれて、2楽章のステキにせわしないピチカートに心を奪われ、3楽章の憂愁漂う低音に身を預け、終楽章のスピードの快感に酔いしれる、という具合に、一気に最後まで聴かされる。いい曲である。
このパレナンによる演奏、69年という年代にしては、古色蒼然、とはいかないまでもどこかしら古めかしさを感じる。いい意味で。
アンサンブルは、きつすぎず緩すぎず、雰囲気がある。メリハリがあって、生気に富んでもいる。
録音もキレがあってなかなかいい。
ジャック・パレナン(Vn1)
マルセル・シャルパンティエ(Vn2)
ドゥネス・マルトン(Va)
ピエール・ペスナウ(Vc)
1969年6月の録音。
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