吉田健一の「酒宴」を読む。
これは、ただただ延々と酒を飲み続ける話。
著者が銀座でひとりで飲んでいると、正面に座っていた男と意気投合する。男は、造り酒屋の技師だという。店を出て飲み足りなくて、八重洲の店へ足を運ぶ。まだまだ飲み足りないので、技師のすすめで、灘にある技師の酒蔵へ行こうという話になり、朝「つばめ」に乗って大阪へ向かう。灘では、大変な宴会が用意されていた。
酒について、肴について語る筆致の精緻さ。そして酒に対する態度の潔さがいい。これを読んで、飲まないわけにはいかない。
コラールのピアノで、ラフマニノフのピアノ協奏曲3番を聴く。
コラールの硬質なピアノの響きがいい。水晶のような輝きを放っている。これはホロヴィッツがオーマンディと入れたライヴ録音の感覚に少し似ている。スケールの大きさでは敵わないが、細やかさでは負けていない。こういう音質だと、技術がいっそう冴えて聴こえる。実際にうまいのだが、音が見事に粒だっているので、テクニックが映える。
プラッソンの指揮もいい。出だしはぼんやりしているが、徐々にエンジンがかかってきて、終楽章はなかなか迫力のある音を聴かせる。
この録音、今の気分ではホロヴィッツ/オーマンディ盤、アシュケナージ/オーマンディ盤に次ぐ演奏。
ジャン=フィリップ・コラール(ピアノ)
ミシェル・プラッソン指揮
トゥールーズ・カピトール国立管弦楽団
1977年6月、トゥールーズでの録音。
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