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自省録(13)、東京クァルテット、モーツァルト"弦楽五重奏4番"

2015.08.22 - モーツァルト

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マルクス・アウレーリウスの「自省録」より。

「君に残された時は短い。山奥にいるように生きよ。至るところで宇宙都市の一員のごとく生きるならば、ここにいようとかしこにいようとなんのちがいもないのだ。真に自然にかなった生活をしている人間というものを人びとに見せてやれ。観察させてやれ。もし彼らに君が我慢ならないなら、彼らをして君を殺させるがよい。彼らのように生きるよりはそのほうがましだから」(第10巻15)。

翻訳は神谷美恵子。







東京クァルテットとズーカーマンのヴィオラで、モーツァルトの弦楽五重奏4番を聴く。

小林秀雄の「モオツァルトのかなしさは疾走する。涙は追いつけない」という有名な言葉は、この曲を指してのもの。ほかにも40番の交響曲や20番のピアノ協奏曲、8番のピアノ・ソナタなどあてはまりそうな音楽はある。ただ、小林はヴァイオリンが好きだったので、とくにこの曲について言及したのではないかと推測する。

このディスクには、3番と4番が収録されていて、どちらも素晴らしい出来。ことに3番は、ズーカーマンのヴィオラが強力で、腰が抜けそうになった。初めてこの曲のスゴさを思い知らされた演奏である。

この4番もいい。1楽章は全体的にとてもゆっくりとしたテンポをとっている。「疾走」というよりは、しっかりとした足取りの歩み。アレグロというよりはアンダンテに近いように感じる。それだけに、各奏者の弦楽器の響きがしっかりと、味わい深く鳴るのが手に取れる。
2楽章は強い。強くて、激しい。
3楽章のアダージョは弱音器の響きが柔らかで夢見心地。浮世離れした美しさ。
終楽章の主部は快速。第1ヴァイオリンのキレは抜群でありまた、全員の楽器が躍動感に満ち溢れている。


ピーター・ウンジャン(ヴァイオリン)
池田菊衛(ヴァイオリン)
磯村和英(ヴィオラ)
原田禎夫(チェロ)
ピンカス・ズーカーマン(ヴィオラ)


1991年6月、ニュージャージー、プリンストン大学、リチャードソン・ホールでの録音。




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休憩。





重版できました。




「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!







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