ドホナーニ指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏で、マーラーの交響曲5番を聴きました(1988年、クリーヴランド、メイソニック・オーディトリアムでの録音)。
このマーラーは折り目正しいというか、縦の線が細い。おおざっぱに言えば、ショルティ指揮シカゴ響やレヴァイン指揮フィラデルフィア管と似たタイプでありつつ、それらをさらにラディカルにしたような演奏と感じます。なので、折り目はキツキツ。こういう人と一緒に仕事したくないなあと思うけど、幸いにもこちらは高見の見物。
この演奏のもうひとつの特徴は、他の演奏では聴こえにくい音がハッキリ感じ取れるところがあるところ。むかし誰かがブーレーズの演奏を「レントゲンで透視しているような」と言いあらわしたことを思い出します。
通常は聴こえない、あるいは聴こえにくいものであっても、できるだけ浮かび上がらせてくれる演奏を好みます。当演奏はそれに愚直に取り組んでいるのではないかな。
その反面、おそらく楽譜に書かれていないであろうところで、シンバルが炸裂しています。まるで1960年以前の演奏を聴くような気持ちにさせられますが、いたって自然に聴こえる。
5番は結局のところラストがすべてだと思うけど、ティンパニの強打は全身が痺れます。
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