テンシュテット指揮LPO マーラー交響曲第3,4番テンシュテットのスタジオでのマーラー・シリーズの良さを、出た当初はわからなかった。
その理由は、どうにもなじめないEMIのトボケた録音にある(とヒトのせいにしてみる)。
EMIの録音は、概して音量のレヴェルが低いので、ボリュームのつまみを前に聴いたCDと同じ角度にあわせておくと、音がなにげなく小さくて、どうもいただけないのであった。
ボリュームが小さいと、音楽そのものが消化不良になってしまう。
そういうことがあって、テンシュテットという指揮者を低くみていた。
だから、ずいぶんと長いこと、彼の音楽を真剣に聴こうとしなかったのである。もったいないことである。
で、なにかの拍子にボリュームを上げて聴いてみたら、とても新鮮だった。いままで聴いてきたのはなんだったのかというくらい、いろいろな音が聴こえてくる。
楽譜の細かい部分まで実に良く聴こえる、見通しのよい響かせかたである。
マーラーの演奏においては、ショルティやシノーポリも副声部を際立たせることに余念はないが、彼らとの違いは、テンシュテットの音はやすりで磨いたように角がとれていることだろう。
メリハリは利いていないが、細かなテンポの揺れを実現させるのに向いている。
この第4は、そうした彼のやり方がうまくいっている演奏だと思う。ロンドン・フィルの弦もまったりしていてコクがある。なじんでみると、録音のぼやけ具合にさえも味を感じてしまうのだから勝手なものである。
ポップの歌は、美声を響かせることよりも、情熱的なダイナミズムを追求したもの
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そうですね、オーケストラ作品だけではなくて、ピアノ曲なども落ちますね。同じ値段を払うなら(もっとも値段ではCDを選ばないものですが)、EMI以外のものをとりたいところです。しかしことに古い録音にはいいアーティストがいるだけに、無視できないのがつらいところです。
デッカやRCAあたりのCDを聴いてからEMI録音をターンテーブルに乗せるとき、ボリュームを1.2から1.5は進めないと、キチンとした音を聴けないですね。そのままにしておくと、音楽そのものが面白く聴くことができません。特にテンシュテットのCDはそのようです。最初はその要領がわからず、もったいないことをしました。改めて聴きますと、このマーラーは細かい音のうねりが良く出ていて、素晴らしいものでした。