ゲオルク・ショルティ指揮 シカゴ交響楽団岡田薫の「捜査指揮」を読む。著者は刑事、鑑識などを歴任した元警視庁副総監。実際にあった事件をもとに、刑事捜査の現場について語っている。
世の中には刑事ドラマが溢れているから、警察の捜査というものがどんなものなのか、なんとなく知っている。「太陽にほえろ」や「西部警察」が現実からかけはなれていることは、子どもだってわかっているだろう。では、実際のところはどうなのか、というところを知りたくて、この本を手に取ったわけだ。
実際に読んでみると、予想通り、全然ドラマティックではない。このドラマティックではない感覚は、捜査がテレビのように派手ではない、ということだけではなく、組織で行動することからくるようだ。そもそも警察は役所であるから、なにをするにも所定の手続きが必要なわけだ。関連部署への根回しをすることはもちろん、自衛隊とか検察など異なる組織に頼みごとをするにも、お作法がいる。それは事件の規模によっても違いがあって、例えば殺人のような大きなものになると捜査本部を発足し、事務局を設定しなければならない、とか。
このあたりの面倒くささは、もうまったく会社と同じ。夢がないことおびただしい。あたりまえ。
バーンスタイン・シンフォニー・エディションのマーラーは、8番まで聴き終わった。この8番がよかったので、他のも聴いてみたくなり、久々にショルティ盤を取り出した。
これは鮮やかなメタリック色のマーラー。シカゴの金管セクションはいつも通り絶好調、全体を通してのカラーを強烈に決めている。
今回聴いて気がついたのは、合唱が優れていること。声が均質に、まろやかに溶け合っており、おいしい。少年合唱も同じく柔軟さを備えていて、さらにみずみずしさをたっぷり湛えたもの。いままで聴いたなかで、もっともクオリティが高いかもしれない。独唱では、第2部でポップとコロが安定した技をきかせていて素晴らしい。第2部の前半は、正直言って途中で退屈になってしまったが、少年合唱が入ってくるあたりからポップの歌で目が覚めた。独唱のその他のメンバーは、声そのものの魅力を今一つ感じられなかった。好みである。
発売当時は優秀録音と謳っていたものらしいが、今聴くと、音質のアドバンテージは少ないような気がする。全体的にはバーンスタインのソニー盤のほうが、むしろ聴きやすく感じたくらい。
ヘザー・ハーパー(S)
ルチア・ポップ(S)
アーリーン・オジェー(S)
イヴォンヌ・ミントン(Ms)
ヘレン・ワッツ(A)
ルネ・コロ(T)
ジョン・シャーリー=カーク(Br)
マルッティ・タルヴェラ(Bs)
ウィーン国立歌劇場合唱団
ウィーン楽友協会合唱団
ウィーン少年合唱団
1971年9月、ウイーン、ゾフィエンザールでの録音。
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