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自省録(10)、ナット、ベートーヴェン"4番"

2015.08.08 - ベートーヴェン

ma
 


夏風邪はどうやら収まる。
東京の週末は昨日までほどには暑くならない様子。でもクーラーなしではいられない。高校球児はすごいな。。
読書と音楽と料理で休日を過ごすことに決め込もう。


「なによりもまず、いらいらするな。なぜならすべては宇宙の自然に従っているのだ。そしてまもなく君は何ものでもなくなり、どこにもいなくなる」(第8巻5)。







イヴ・ナットのピアノでベートーヴェンのピアノ・ソナタ4番を聴く。

昔から変わらずベートーヴェンをよく聴くが、最近は弦楽四重奏では後期、ピアノ・ソナタは前期のものを比較的よく取り出す。じぶんのなかで流行りがあるようだ。
ソナタはナットとポリーニとのふたつをだいたい並行して聴いている感じ。同じ曲を繰り返し聴くので、なかなか前に進まないのだが。

ナットのピアノは歯切れがいい。ひとつひとつの音が粒だっている。それは初期のソナタ(1番から7番まで、あとはまだ未聴)に共通して言えることだと思う。
そういう点では、グルダのアマデオ盤と少し似ているけれども、あれほど速くはない。中庸なテンポを保っている。

1楽章の出だし、左手のリズムに乗って右手が奏でる明るい色調のメロディーは、生きる手ごたえを感じさせる。2楽章のラルゴは感情を超えた何かが、じんわりと心に沁み渡る。
3楽章はアレグロ。可愛らしい旋律が、独特の間をとりながら流れ、そしてときに悲哀が顔を出す。終楽章のロンドへの繋がりはとても自然。リサイタルならばアタッカで入っても、そう不自然じゃないだろう。中間部は激しく、ナットのピアノは堅牢。

全体を通して、とても完成度の高い曲と演奏だと思う。


1955年9月、パリ、salle adyarでの録音。





ma
 
休憩。





重版できました。




「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!






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