日曜日の江戸川公園。
モデルの卵たちが、花の前で撮影をしている。真冬の間は休んでいたようだが、もう春を待ちきれない。暖かくなると、若い女性がいろとりどりの洋服を着て花の前に立つ。
まだ寒さは続くが、自然はより鋭敏。梅を始め、オトメ椿も咲き始めた。
この花の中に、ウグイスが潜んでいるのです!
ポリーニのピアノでベートーヴェンのピアノ・ソナタ14番「月光」を聴く。
これは、彼のベートーヴェンのソナタの中では、比較的早い時期に録音された。早いといっても1991年のことであり、最初に入れた後期のソナタから15年が経っている。
この「月光」は、70年代初頭のポリーニを思い出させる。情緒や色合いを捨て去って、あくまで技巧を重んじた、あの70年代。それは、曲によっては違和感があったりしたが、それがはまる曲であれば右に出るものなし、といった風格すら感じられるものだった。
そのよいところが出ている、これは演奏だと思う。
1楽章は淡々と進む。湖に映る月光を見て妄想する、などという情緒は薄い。ただただ、機械的にピアノは鳴る。
2楽章も似たようなもの。細かいニュアンスや、仄めかし、といった芸はひけらかさない。強弱とテンポの変化はなかなか大きいが、音符の間に意味はない。音そのもので勝負する。
そのスタイルが最も成功しているのは終楽章。ポリーニがかつてショパンの「練習曲」やストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」で披露した、情け容赦のない音の機関銃だ。
ポリーニが生き生きとしている。「レコード会社がベートーヴェンやれって言うからやってるけど、ホントは堅苦しくて嫌いなんだよな」と思いつつ久々の獲物を得たような、そんなはじけぶりだ。
1991年5月、ミュンヘン、ヘラクレズザールでの録音。
おでんとツイッターやってます!八甲田その13。
買っちゃいました。
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