ベート-ヴェン 交響曲第3番「英雄」 カラヤン指揮ベルリン・フィル浅川夏樹の「夜の銀座の資本論」を読む。
店に行く前に必ず美容院に行かなければならないので面倒くさいから銀座はよした、なんて話を昔に聞いたことがあるが、この本を読むと実際その通りみたい。美容院に加えて服代も相当にかかるらしく、いくら収入がよくてもなかなか大変だということがわかる。ホステスは基本的に個人事業主であるから、終身雇用ではもちろんない。ノルマがきついから、なおさら楽じゃない。
面白かったのは、リスク分散の話。
たったひとりの客につくだけで、月に500万円の売上があるとする。とすれば、その人だけを世話するばいいわけだから楽である。でも将来、その客が事業に失敗したり事故にあったりした場合、損失は100%になる。それに対し、自分の客が100人いれば、1人を失っても1%の損失に抑えることができる。だから、1人でも多くの客を増やすように、リスクマネジネントをするべきだ、云々。
こう語る元ホステスの著者は、資産運用のサイトを主宰しているとのこと。資本論を謳っているのはダテじゃないのダ!?
この週末はカラヤンのベートーベンを聴く。
まず、英雄の最後の録音で、これは1984年のセッション。
カラヤンが指揮するベートーベンの交響曲はどれもいいが、英雄の演奏が最も好みだ。
以前に観たビデオで、たしか70年代の後半に収録したライヴだったと記憶するが、ベルリンのフィルハーモニーでの映像はすごい迫力だった。草木をなぎ倒しながら増幅していく嵐みたいに、てのつけられないような力強さを感じたものだった。あれを聴いたおかげで、カラヤンのベートーヴェンのなかでも「英雄」は特にいいんじゃないかと思っていた。
今日聴いた演奏は、そのときのスタンスは基本的に同じ。やや速めのテンポでぐいぐい進んでいく。大きな聴きどころは2楽章。管楽器がうなりをあげて奏する音楽はなんともきらびやかな極彩色。葬送のテーマとしてはいささか派手な気がしないでもないが、これも一興。カロリーがたっぷりな西洋料理のフルコースの賑わい(吉田秀和か)。
録音は硬め。DGのデジタル初期特有の金属臭が立ちこめているから、きつく絞ったベルリンの音色が輝かしすぎる。実演では、こうは聴こえない。
1984年1月、ベルリン、フィルハーモニーでの録音
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