メロス弦楽四重奏団の演奏で、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲10番「ハープ」を聴く(1984年2月、バンベルクでの録音)。
メロス四重奏団は、1965年にシュトゥットガルトで結成された団体。翌1966年のジュネーヴ・コンクールでズスケ四重奏団と2位(1位なし)を分け合っている。意外と、古い。というか、ズスケが思いのほか新しいというか。
さてこの演奏、先日まで聴いていたアマデウス四重奏団のものに比べて、アンサンブルが緊密である。そして、パッションが強い。各奏者の技量は高い。音程はいいし、響きそのものも冴えている。その反面、アマデウスのような牧歌的な味わいは薄い。
1楽章で、第1ヴァイオリンがだんだんと上昇していって、急にストンと落下するところでポルタメントをきかせるあたりは、ズスケに似ている。これは、とてもセンスいいと思う。
2楽章は情感が深く、3楽章は激しく速い。終楽章に変奏曲を採用するのは、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲のなかでこれのみ。メロスの演奏は太陽みたいに明るくて雄弁、青空のような希望に満ちている。
ジンセイ、こうありたいものだなあ。
ヴィルヘルム・メルヒャー(第1ヴァイオリン)
ゲルハルト・フォス(第2ヴァイオリン)
ヘルマン・フォス(ヴィオラ)
ペーター・ブック(チェロ)
図書館。
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