ブレンデルのピアノ、ラトル指揮ウイーン・フィルの演奏で、ベートーヴェンのピアノ協奏曲4番を聴く(1997年12月、ウイーン、ムジークフェラインザールでの録音)。
これは軽やかななかに、適度な厚みも兼ね備えた演奏。
さきに聴いた1番は、ラトルがピリオド奏法を少し意識したようなところがあったが、ここではモダンスタイルで決めている。ヴァイオリンは対抗配置のようだ。
出だしのカデンツァはゆっくり、丁寧に弾いている。その後もブレンデルは一音一音を慈しむようなタッチ。
ピアノの音そのものは特段きれいというほどではないけれど、適切に抑揚がつけられていているうえに、オーケストラと混ざるところではしっかりと自己主張している。
1楽章のカデンツァはブレンデルの自作らしい。たしかに、いままでに聴いたことのないもの。重厚ななかに、トリッキーな動きがあったりして、なかなか面白い。カデンツァは本来、演奏者が作るのが望ましいわけだから、このやり方は理にかなっている。
2楽章は、両者ともにじっくりと間をとって演奏される。ムジークフェラインの残響がモノをいっている。深夜の日記のように内省的。
アタッカで3楽章。一転して陽のあたる場所へ。ラトルの指揮は山の川のような急流、細かいところはあまり拘泥していない。ブレンデルは落ち着いてついてゆく。
3楽章のカデンツァは従来のもの。歯切れのいいピアノが気持ちいい。
駐車場。
PR