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ブレンデル、ラトル、ベートーヴェン"4番"

2016.10.29 - ベートーヴェン

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ブレンデルのピアノ、ラトル指揮ウイーン・フィルの演奏で、ベートーヴェンのピアノ協奏曲4番を聴く(1997年12月、ウイーン、ムジークフェラインザールでの録音)。

これは軽やかななかに、適度な厚みも兼ね備えた演奏。
さきに聴いた1番は、ラトルがピリオド奏法を少し意識したようなところがあったが、ここではモダンスタイルで決めている。ヴァイオリンは対抗配置のようだ。

出だしのカデンツァはゆっくり、丁寧に弾いている。その後もブレンデルは一音一音を慈しむようなタッチ。

ピアノの音そのものは特段きれいというほどではないけれど、適切に抑揚がつけられていているうえに、オーケストラと混ざるところではしっかりと自己主張している。
1楽章のカデンツァはブレンデルの自作らしい。たしかに、いままでに聴いたことのないもの。重厚ななかに、トリッキーな動きがあったりして、なかなか面白い。カデンツァは本来、演奏者が作るのが望ましいわけだから、このやり方は理にかなっている。

2楽章は、両者ともにじっくりと間をとって演奏される。ムジークフェラインの残響がモノをいっている。深夜の日記のように内省的。
アタッカで3楽章。一転して陽のあたる場所へ。ラトルの指揮は山の川のような急流、細かいところはあまり拘泥していない。ブレンデルは落ち着いてついてゆく。
3楽章のカデンツァは従来のもの。歯切れのいいピアノが気持ちいい。






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駐車場。








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Comment

ブレンデルらしい第4番でした - yoshimi

こんにちは。
第1楽章は、わりと力強く弾く人も結構いますが、ブレンデルは”優雅な女王様”のように優美ですね。
レーゼルもどちらかというとこの方向だったと思います。(また聴き直してみますが)

ブレンデルのカデンツァは、前半はちょっとモーツァルトの歌劇風?みたいなところもあって面白いのですが、後半は穏やかでトリルが続いたりして、ちょっと地味な気がしました。
第4番の自作カデンツァはいくつか聴きましたが、やはりベートーヴェンのカデンツァが一番ダイナミックで盛り上がり方が良いですね。
2016.10.29 Sat 13:29 URL [ Edit ]

いい演奏です。 - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんにちは。
”優雅な女王様”とは言いえて妙ですね。優しい肌触りのするピアノだと感じました。
レーゼルも聴いてみたいですねぇ。
自作のカデンツァのほうは慣れているから、かなり冒険をするか、あるいは卓抜な演奏をしない限り、なかなか印象に残りませんが、これは記憶に残ります。
ベートーヴェンにはかなわないかもしれませんが、自作のカデンツァをもっといろいろなピアニストで聴いてみたいです。
2016.10.29 16:21

カデンツァについて訂正です - yoshimi

こんにちは。
ブレンデルのカデンツァですが、実は自作ではなくて、ベートーヴェンが2曲作ったうちの、もう一つのカデンツァでした。
たまたまポリーニ&ベームの演奏を聴いていたら、ブレンデルと同じカデンツァを弾いていたので、間違いを発見しました。すみません。

ついでにYoutubeで第4番のカデンツァ集を見つけました。
ベートーヴェン以外のものは、他の作曲家かピアニスト自作か、どちらなのかよくわかりませんが、バックハウスは自作と言われています。
https://www.youtube.com/watch?v=TJGoSs94SMw

ピアニストで自作カデンツァを弾いているので有名なのは、ケンプです。第1楽章&第3楽章とも自作です。
ケンプはたしかコンチェルト4曲とも、全て自作を弾いていたと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=qrjgJCHKRys

珍しいブラームスのカデンツァはビレットが弾いてます。
https://www.youtube.com/watch?v=e07Uva6j4Ow

他に、ピアニストのデュシャーブルは第1&第3楽章の両方とも自作です。(彼も4曲全て自作カデンツァです)

第1番・第3番もいくつかカデンツァがありますので、近々記事にまとようと思います。
2016.10.30 Sun 11:04 URL [ Edit ]

ピアニストによっていろいろ違うのですね - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんにちは。
ベートーヴェンは2曲作っていたのですか。ひとつの協奏曲に複数作ることがあるのですね~。
ご指摘ありがとうございます。ポリーニは同じなのですね。
Youtubeのカデンツァ集はすごい!
バックハウス、ケンプ、デュシャーブルは自作ですか、古い人も比較的新しい人も、いろいろ工夫しているのですね。
ご紹介ありがとうございます!
2016.10.30 12:24
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