タカーチ弦楽四重奏団の演奏で、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲13番「大フーガ付き」を聴きました(2003-2004年、セント・ジョージ・ブリストルでの録音)。
タカーチによる後期四重奏曲はどれも素晴らしいもので、この13番も例外ではありません。
響きが濃密であり、かつ深いコクがある。冷気のようなキレがありつつ、羽毛のような肌触りを感じるところもある。しなやかで弾力に富むフレージングはいきいきとしており、音楽を聴くこれは愉悦なのだと感じないわけにいきません。
このディスクでは、「大フーガ」のあとに差し替えのフィナーレが置かれています。「大フーガ」は異形の曲なので、どのように配置してもいまひとつしっくりこないのですが、これはベートーヴェンの生前から指摘されてきたことなので、まあ仕方がない。
フィナーレはスケールの大きさでは「大フーガ」に劣るかもしれないけれど、頬ずりしたくなるほど愛らしい音楽。ここでも堪能しました。
エドワード・ドゥシンベル(ヴァイオリン)
カーロイ・シュランツ(ヴァイオリン)
ロジャー・タッピング(ヴィオラ)
アンドラーシュ・フェイェール(チェロ)
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