ズスケ弦楽四重奏団の演奏で、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲7番「ラズモフスキー1番」を聴きました(1967年7月、ドレスデン、ルカ教会での録音)。
この曲は、いわゆるベートーヴェン中期の最初の弦楽四重奏作品。いい感じにいきり立っています(笑)。
出だしの威勢のよさは、シューベルトの「水車小屋の娘」に似ていると思いますがどうでしょう。夢と希望に満ち溢れた旅立ち。ただ、シューベルトのほうはご存じのように、最後ひどい目にあうわけですが。
このラズモフスキーを疲れているときに聴くと、音楽の光沢があまりにも眩しすぎて、おもむろにCDをしまいます。
だからこの曲は、体調のバロメーターと言えるかもしれません。最近は、すすんで聴くことが少なくなりました。
ズスケによる演奏は、やはりとても活気に満ちたもの。冒頭から、ものすごく馬力があって、眩いばかりに輝かしく、音の密度がとても濃い。自然な強弱のつけかたや、スタッカートの味付けも好み。
1楽章の展開部においての、チェロの咆哮はハッとするくらいに迫力がある。3楽章における、音のたっぷりとしたブレンド感。そして全編通しては、カール・ズスケの輪郭のはっきりとしたヴァイオリンが精彩を放っています。
でも、ズスケの特長は、いいクアルテットがそうであるように、4名の力のバランスが拮抗していることだと思います。それも、なかなか比類のないような高度なレヴェルで。カール・ズスケはもちろんいいけれど、他の3名も素晴らしい。
文句のつけようがない、立派な演奏です。
カール・ズスケ(ヴァイオリン1)
クラウス・ペータース(ヴァイオリン2)
カール=ハインツ・ドムス(ヴィオラ)
マティアス・プフェンダー(チェロ)
パースのビッグムーン。
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